linuxrc は主にインストール時に使用されるシステムで、カーネルを準備するのに 用いられます。 linuxrc はモジュールを読み込んでインストール済みのシステムを 起動するか、もしくはレスキューシステムやインストール処理 (YaST) そのものを 起動します。
linuxrc はできるかぎり小さくなるように作られています。そのため、必要なすべての プログラムが 1 つのバイナリにまとめられています。そのため、初期 RAM ディスク (initrd) 内には、共有ライブラリを同梱する必要はありません。
linuxrc をインストール済みのシステムで動作させる場合、既存の環境を保持する ために少し違った動作をします。そのため、この方法では linuxrc の機能を テストするには不十分です。 |
linux を手動モードで動作させない限り、通常は info
ファイルを
下記の手順で検索します。まずはフロッピィディスク内の /info
を検索し、存在しない場合は initrd 内の /info
を検索します。
次にカーネルのコマンドラインに書かれたパラメータを処理します。 linuxrc で
読み込む info
ファイルは、コマンドラインパラメータの
info
で設定することができます。なお、 linuxrc でも解釈可能な
カーネルパラメータを指定する必要がある場合など、 linuxrc にカーネルのコマンド
ラインの解釈を行なわせたくない場合は、 linuxrc=nocmdline
を指定してください。
SUSE Linux 10.2 での変更点 | |
---|---|
何らかの値を指定しない限り、 |
linuxrc は必ず /linuxrc.config
ファイルも参照し、読み込みます。
このファイルを用意することで、既定値を必要な値に変更することができます。ただし、通常は
info
ファイルを指定したほうが適切です。なお、手動モードであっても、
/linuxrc.config
は info
ファイルよりも
先に読み込まれます。
info
ファイルの書式¶'#' で始まる行はコメントとみなされます。 有効な項目は、下記の形式で指定します:
キー: 値
なお、 値 は行末まで読み込まれる仕組みであるため、 半角スペースなどを自由に含めることができます。また、 キー は大文字と小文字を区別しません。
カーネルのコマンドラインでも、上記のようなキーと値のペアを設定することができます。
この場合は キー=値
のように指定してください。
書式の正しくない項目は、すべて無視されます。
下記の表には、キーとして利用可能なものの一覧が示されています。 値は一例です。
表B.1 高度な linuxrc のキーワード
キー/値 |
説明 |
---|---|
Language: ja_JP |
言語を指定します。 |
Keytable: jp106 |
キーテーブルを指定します。 |
Display: Color|Mono|Alt |
メニューの色表示を制御します。 |
Install: nfs://server/install/8.0-i386 |
server で指定したサーバが提供する NFS サービスから、インストールを行ないます (注意: URL 形式でユーザ名とパスワードを指定できます) 。 |
InstMode: cd|hd|nfs|smb|ftp|http|tftp |
インストールモードを指定します。 |
HostIP: 10.10.0.2 |
クライアントの IP アドレスを指定します。 |
Netmask: 255.255.0.0 |
ネットマスクを指定します。 |
Gateway: 10.10.0.1 |
ゲートウェイを指定します。 |
Server: 10.10.0.1 |
インストールサーバのアドレスを指定します。 |
Nameserver: 10.10.0.1 |
ネームサーバを指定します。 |
Proxy: 10.10.0.1 |
プロキシサーバ (ftp または http 用) を指定します。 |
ProxyPort: 10.10.0.1 |
プロキシサーバのポートを指定します。 |
Partition: hda1 |
ハードディスクからのインストールを行なう場合、 インストール元のデバイスを指定します。 |
Serverdir: /install/8.0-i386 |
インストール元のベースディレクトリを指定します。 |
Netdevice: eth0 |
使用するネットワークインターフェイスを指定します。 |
BOOTPWait: 5 |
ネットワークの有効化から bootp の開始まで、 5 秒間待機します。 |
BOOTPTimeout: 10 |
BOOTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 10 秒に設定します。 |
DHCPTimeout: 60 |
BOOTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 60 秒に設定します。 |
TFTPTimeout: 10 |
TFTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 10 秒に設定します。 |
ForceRootimage: 0|1 |
インストールシステムを RAM ディスクに読み込むかどうかを指定します。 |
Textmode: 0|1 |
YaST をテキストモードで開始するかどうかを指定します。 |
Username: name |
ユーザ名を指定します (FTP インストールなどの場合) 。 |
Password: password |
パスワードを指定します (FTP インストールなどの場合) 。 |
WorkDomain: domain |
SMB インストールの際のドメインを指定します。 |
ForceInsmod: 0|1 |
insmod を実行する際、 '-f' オプションを指定するかどうかを指定します。 |
DHCP: 0|1 |
DHCP デーモンを 今すぐ 開始するかどうかを指定します。 UseDHCP もお読みください。 |
UseDHCP: 0|1 |
BOOTP ではなく DHCP を使用するかどうかを指定します (DHCP が既定値です) 。 |
MemLimit: 10000 |
10000kB よりもメモリ量が少ない場合に、スワップの設定を行ないます。 |
MemYaST: 20000 |
空きメモリ量が 20000kB より少ない場合、 YaST をテキストモードで動作させます。 |
MemYaSTText: 10000 |
10000kB よりもメモリ量が少ない場合に、 YaST 開始前にスワップの設定を行ないます。 |
MemModules: 20000 |
空きメモリ量が 20000kB より少ない場合、 YaST の起動前に全モジュールを削除します。 |
MemLoadImage: 50000 |
空きメモリ量が 50000kB より多い場合、インストールシステムを RAM ディスク内に読み込みます。 |
Manual: 0|1 |
linuxrc を手動モードで動作させるかどうかを指定します。 |
NoPCMCIA: 0|1 |
カードマネージャを起動させないかどうかを指定します。 |
Domain: zap.de |
ドメインを指定します (DNS ネームサーバの参照時に使用します) 。 |
RootImage: /suse/images/root |
インストールシステムのイメージファイルを指定します。 |
RescueImage: /suse/images/rescue |
レスキューシステムのイメージファイルを指定します。 |
InstallDir: /suse/inst-sys |
インストールディレクトリを指定します。 |
Rescue: 1|nfs://server/dir |
レスキューシステムの読み込みを指定します。 URL を指定すると、レスキューシステムの イメージファイルが存在する場所を明示的に設定できます。 |
AutoYaST: ftp://autoyastfile |
自動インストール用のファイルを指定します。これにより、自動インストールが有効化されます。 |
VNC: 0|1 |
VNC サーバを起動するかどうかを指定します。 |
VNCPassword: password |
VNC サーバのパスワードを指定します。 |
UseSSH: 0|1 |
SSH サーバを起動するかどうかを指定します。 |
SSHPassword: password |
SSH サーバのパスワードを指定します (インストール処理中にのみ 使用するものであり、 root のパスワードとは異なります) |
AddSwap: 0|3|/dev/hda5 |
0 を指定すると、スワップに対して何も尋ねなくなります。 それ以外の正の整数の場合、 n 番目の スワップパーティションを有効化します。番号以外にも、デバイス名 で設定することもできます。この場合は指定のスワップパーティションを 有効化します。 |
Exec: command |
command で指定したコマンドを実行します。 |
USBWait: 4 |
USB モジュールを読み込んでから、 4 秒間待機します。 |
Insmod: module params |
指定したモジュールを読み込みます。 |
Loghost: 10.10.0.22 |
syslog プロトコルでログ記録を行なうサーバを指定します。 |
y2confirm |
プロファイル内の confirm パラメータを上書きし、インストール 提案画面での確認を有効化します (SUSE Linux 10.1 および SLES10 、またはそれ以降のバージョンで利用できます) 。 |
netsetup キーワードでは、より高度なネットワーク 設定を行なうことができるほか、必要であればダイアログを表示して入力を 求めることもできます。
netsetup=1
通常のネットワーク設定ダイアログを表示します。
netsetup=xxx,yyy
xxx と yyy のみダイアログを表示します。
netsetup=+xxx,-yyy
xxx のダイアログについては有効化し、 yyy のダイアログについては無効化します。
netsetup では 5 種類の値を設定することができます。 それぞれ dhcp, hostip, gateway, netmask, nameserver です。また、 nameserverN (N は 1 以上 4 以下の整数) のように指定すると、 N で指定した 個数だけネームサーバを尋ねます。
たとえば下記のようにコマンドラインに入力します:
netsetup=-dhcp,+nameserver3