付録B 高度な linuxrc オプション

目次

B.1. linuxrc に対するパラメータの受け渡し
B.2. info ファイルの書式
B.3. 高度なネットワーク設定

linuxrc は主にインストール時に使用されるシステムで、カーネルを準備するのに 用いられます。 linuxrc はモジュールを読み込んでインストール済みのシステムを 起動するか、もしくはレスキューシステムやインストール処理 (YaST) そのものを 起動します。

linuxrc はできるかぎり小さくなるように作られています。そのため、必要なすべての プログラムが 1 つのバイナリにまとめられています。そのため、初期 RAM ディスク (initrd) 内には、共有ライブラリを同梱する必要はありません。

[Note]

linuxrc をインストール済みのシステムで動作させる場合、既存の環境を保持する ために少し違った動作をします。そのため、この方法では linuxrc の機能を テストするには不十分です。

B.1. linuxrc に対するパラメータの受け渡し

linux を手動モードで動作させない限り、通常は info ファイルを 下記の手順で検索します。まずはフロッピィディスク内の /info を検索し、存在しない場合は initrd 内の /info を検索します。 次にカーネルのコマンドラインに書かれたパラメータを処理します。 linuxrc で 読み込む info ファイルは、コマンドラインパラメータの info で設定することができます。なお、 linuxrc でも解釈可能な カーネルパラメータを指定する必要がある場合など、 linuxrc にカーネルのコマンド ラインの解釈を行なわせたくない場合は、 linuxrc=nocmdline を指定してください。

[Note]SUSE Linux 10.2 での変更点

何らかの値を指定しない限り、 info ファイルを読み込んだり することはなくなりました。ファイルを読み込ませるには、 'info=floppy:/info' のように明示的に指定します。

linuxrc は必ず /linuxrc.config ファイルも参照し、読み込みます。 このファイルを用意することで、既定値を必要な値に変更することができます。ただし、通常は info ファイルを指定したほうが適切です。なお、手動モードであっても、 /linuxrc.configinfo ファイルよりも 先に読み込まれます。

B.2. info ファイルの書式

'#' で始まる行はコメントとみなされます。 有効な項目は、下記の形式で指定します:

キー: 値

なお、 は行末まで読み込まれる仕組みであるため、 半角スペースなどを自由に含めることができます。また、 キー は大文字と小文字を区別しません。

カーネルのコマンドラインでも、上記のようなキーと値のペアを設定することができます。 この場合は キー=値 のように指定してください。 書式の正しくない項目は、すべて無視されます。

下記の表には、キーとして利用可能なものの一覧が示されています。 値は一例です。

表B.1 高度な linuxrc のキーワード

キー/値

説明

Language: ja_JP

言語を指定します。

Keytable: jp106

キーテーブルを指定します。

Display: Color|Mono|Alt

メニューの色表示を制御します。

Install: nfs://server/install/8.0-i386

server で指定したサーバが提供する NFS サービスから、インストールを行ないます (注意: URL 形式でユーザ名とパスワードを指定できます) 。

InstMode: cd|hd|nfs|smb|ftp|http|tftp

インストールモードを指定します。

HostIP: 10.10.0.2

クライアントの IP アドレスを指定します。

Netmask: 255.255.0.0

ネットマスクを指定します。

Gateway: 10.10.0.1

ゲートウェイを指定します。

Server: 10.10.0.1

インストールサーバのアドレスを指定します。

Nameserver: 10.10.0.1

ネームサーバを指定します。

Proxy: 10.10.0.1

プロキシサーバ (ftp または http 用) を指定します。

ProxyPort: 10.10.0.1

プロキシサーバのポートを指定します。

Partition: hda1

ハードディスクからのインストールを行なう場合、 インストール元のデバイスを指定します。

Serverdir: /install/8.0-i386

インストール元のベースディレクトリを指定します。

Netdevice: eth0

使用するネットワークインターフェイスを指定します。

BOOTPWait: 5

ネットワークの有効化から bootp の開始まで、 5 秒間待機します。

BOOTPTimeout: 10

BOOTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 10 秒に設定します。

DHCPTimeout: 60

BOOTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 60 秒に設定します。

TFTPTimeout: 10

TFTP のリクエストを送信してからのタイムアウトを 10 秒に設定します。

ForceRootimage: 0|1

インストールシステムを RAM ディスクに読み込むかどうかを指定します。

Textmode: 0|1

YaST をテキストモードで開始するかどうかを指定します。

Username: name

ユーザ名を指定します (FTP インストールなどの場合) 。

Password: password

パスワードを指定します (FTP インストールなどの場合) 。

WorkDomain: domain

SMB インストールの際のドメインを指定します。

ForceInsmod: 0|1

insmod を実行する際、 '-f' オプションを指定するかどうかを指定します。

DHCP: 0|1

DHCP デーモンを 今すぐ 開始するかどうかを指定します。 UseDHCP もお読みください。

UseDHCP: 0|1

BOOTP ではなく DHCP を使用するかどうかを指定します (DHCP が既定値です) 。

MemLimit: 10000

10000kB よりもメモリ量が少ない場合に、スワップの設定を行ないます。

MemYaST: 20000

空きメモリ量が 20000kB より少ない場合、 YaST をテキストモードで動作させます。

MemYaSTText: 10000

10000kB よりもメモリ量が少ない場合に、 YaST 開始前にスワップの設定を行ないます。

MemModules: 20000

空きメモリ量が 20000kB より少ない場合、 YaST の起動前に全モジュールを削除します。

MemLoadImage: 50000

空きメモリ量が 50000kB より多い場合、インストールシステムを RAM ディスク内に読み込みます。

Manual: 0|1

linuxrc を手動モードで動作させるかどうかを指定します。

NoPCMCIA: 0|1

カードマネージャを起動させないかどうかを指定します。

Domain: zap.de

ドメインを指定します (DNS ネームサーバの参照時に使用します) 。

RootImage: /suse/images/root

インストールシステムのイメージファイルを指定します。

RescueImage: /suse/images/rescue

レスキューシステムのイメージファイルを指定します。

InstallDir: /suse/inst-sys

インストールディレクトリを指定します。

Rescue: 1|nfs://server/dir

レスキューシステムの読み込みを指定します。 URL を指定すると、レスキューシステムの イメージファイルが存在する場所を明示的に設定できます。

AutoYaST: ftp://autoyastfile

自動インストール用のファイルを指定します。これにより、自動インストールが有効化されます。

VNC: 0|1

VNC サーバを起動するかどうかを指定します。

VNCPassword: password

VNC サーバのパスワードを指定します。

UseSSH: 0|1

SSH サーバを起動するかどうかを指定します。

SSHPassword: password

SSH サーバのパスワードを指定します (インストール処理中にのみ 使用するものであり、 root のパスワードとは異なります)

AddSwap: 0|3|/dev/hda5

0 を指定すると、スワップに対して何も尋ねなくなります。 それ以外の正の整数の場合、 n 番目の スワップパーティションを有効化します。番号以外にも、デバイス名 で設定することもできます。この場合は指定のスワップパーティションを 有効化します。

Exec: command

command で指定したコマンドを実行します。

USBWait: 4

USB モジュールを読み込んでから、 4 秒間待機します。

Insmod: module params

指定したモジュールを読み込みます。

Loghost: 10.10.0.22

syslog プロトコルでログ記録を行なうサーバを指定します。

y2confirm

プロファイル内の confirm パラメータを上書きし、インストール 提案画面での確認を有効化します (SUSE Linux 10.1 および SLES10 、またはそれ以降のバージョンで利用できます) 。


B.3. 高度なネットワーク設定

netsetup キーワードでは、より高度なネットワーク 設定を行なうことができるほか、必要であればダイアログを表示して入力を 求めることもできます。

  • netsetup=1

    通常のネットワーク設定ダイアログを表示します。

  • netsetup=xxx,yyy

    xxx と yyy のみダイアログを表示します。

  • netsetup=+xxx,-yyy

    xxx のダイアログについては有効化し、 yyy のダイアログについては無効化します。

netsetup では 5 種類の値を設定することができます。 それぞれ dhcp, hostip, gateway, netmask, nameserver です。また、 nameserverN (N は 1 以上 4 以下の整数) のように指定すると、 N で指定した 個数だけネームサーバを尋ねます。

たとえば下記のようにコマンドラインに入力します:

netsetup=-dhcp,+nameserver3

openSUSE AutoYaST 13.1