AutoYaST2 は SUSE Linux システムを自動的にインストールするための仕組みで、 ユーザに対して一切操作を求めることなく処理を進めることができます。 AutoYaST2 での インストールは、 AutoYaST プロファイルと呼ばれるものを利用して、インストール や設定に必要なデータを取得します。この AutoYaST プロファイルは、 AutoYaST2 の設定用インターフェイスを利用して作成することができるほか、 インストール時には、様々な方法でプロファイルを指定することができます。
AutoYaST2 は SUSE Linux 8.0 以降の製品、もしくは SLES 8 以降の ビジネス製品で利用できます。
SuSE Linux 8.0 以前のバージョン、およびビジネス製品における SLES 7 のバージョンについては、 YaST1 をベースにした自動インストールシステムが あります。これらのシステムの設定管理は、 ALICE 社から提供されています。
最新のドキュメンテーション | |
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最新のドキュメンテーションは、下記の URL にあります: http://www.suse.com/~ug |
Linux Journal では、 issue 78 の記事で下記のように評しています:
「 標準的な Linux インストールプログラムでは、インストール処理やハードウエア/ ネットワークインターフェイスの設定に際して、様々な質問を表示します。これらの 質問に答えていくことが、一方では有益であり、かつ楽しいものです。ですが、 多数の新しい Linux マシンを設定するようなシステムエンジニアの場合、同じ質問に 何度も何度も答えていかねばならないことになります。このような作業は効率的では なく、苛立たしさや退屈さをもたらす原因ともなります。そのため、これらの パラメータやオプション設定を自動化する仕組みが必要となるわけです。 」
「 もちろん単純にハードディスクを複製してそのような要件にこたえる、という解決法も あるでしょう。これはすぐに実施できるものですし、オプション設定などを一切行なう ことなく、すべての必要な機能やソフトウエアを用意することができます。ですが、 複製による解決は、それらのコンピュータの構成がとても似通ったものでなければ なりませんし、たとえば各マシンの IP アドレスの設定など、それぞれのマシンで別々に 設定しなければならないものもなります。この作業を正しく実施しなければ、予期しない 奇妙な動作を目にすることにもなってしまいます。 」
SuSE Linux における通常のインストール処理は、既定の状態でも半分自動化されています。 ユーザはインストール開始前に必要な情報 (多くの場合は言語のみ) を選択しておくだけで、 YaST2 はそれらの要件を基にした提案を作成します。特に新しくインストールするシステム など、多くの場合は提案の設定をそのまま使用することで、すぐに使用できるシステムを 構築することができます。
提案を受け入れた後の処理は完全に自動化されていて、インストール完了後にハードウエアや ネットワークサービスの設定を行なう段階まで、何もする必要はありません。
AutoYaST2 は、カスタマイズが必要な状況下でもユーザ入力を必要としない仕組みです。 AutoYaST プロファイルと呼ばれるものを使用することで、 YaST2 は独自のインストール要件 に適合するようにシステムを準備し、プロファイル内でユーザに尋ねるように示されている 場合を除いて、一切のユーザ入力を求めずにインストールを行ないます。
AutoYaST2 は GUI システムの自動化ではありません。つまり、多くの場合において画面 (たとえば言語選択画面) ごと表示されなくなります。たとえば言語選択であれば、 AutoYaST2 は言語関連のインターフェイスを表示せずに、パラメータをサブシステムに 受け渡します。
AutoYaST2 は、同一の環境や類似の環境を共有するものの、ハードウエアが 同一のものではなかったりするような場合、および似たような作業を繰り返し 実施しなければならないような場合に、素早くインストールを行なうための 仕組みです。まずは既存の設定リソースを利用して、 「AutoYaST プロファイル」 と呼ばれる設定ファイルを作成します。プロファイルは 必要に応じて、自由に修正することができます。
従来の SUSE リリースで利用されていた自動インストールシステムとは異なり、 AutoYaST2 はシステムのインストールや設定に対して、完全なまでの統合を提供 し、オプションも用意しています。古いシステムや他の自動インストールシステムに 対する主な利点としては、既存のモジュールを利用してコンピュータを設定でき、 通常はインストール後に実行するような独自のスクリプトを使用せずに済む、 という点にあります。
この文書では、自動インストールに際して 3 つのステップを説明しています:
準備: インストールするシステムに関するすべての情報収集と、それに 対応するプロファイル内のディレクティブへの変換方法を示しています。 プロファイルはインストール対象のシステムに転送し、そこで読み込んで YaST2 の処理を行ないます。
インストール: プロファイルに書かれた手順を実施し、システムの基礎 部分のインストールを行ないます。
設定: YaST2 自身の処理のほか、ユーザ定義のインストール後スクリプトを 実行したり、システムの設定を実施したりする作業を行ないます。
インストール手順の概要については、下記の図をご覧ください: