第2章 リモートインストール

目次

2.1. リモートインストールの手順
2.2. インストール元のデータを保存するサーバの構築
2.3. ターゲットシステムの起動準備
2.4. インストールのためのターゲットシステムの起動
2.5. インストール処理の監視

openSUSE® は異なる複数の方法でインストールすることができます。 第1章 YaST を利用したインストール で記述されている方法のほか、 openSUSE をネットワーク経由でインストールしたり、全く手を触れることなく インストールしたりすることもできます。

それぞれの方法は 2 つの簡単なチェックを行なうところから始まります: 1 つめはその方法を利用するにあたっての前提条件を確認すること、 2 つめは基本的な流れを確認することです。 詳しい手順は、それぞれのインストール方法を決定することで決まります。

[Note]

下記の章では、これから openSUSE をインストールしようとしている システムを ターゲットシステム または インストールターゲット と呼びます。また、 リポジトリ (以前は インストールソース と呼んでいました) は、インストール作業に必要な全てのデータが ある場所のことを指します。たとえば物理メディアである CD や DVD のほか、 お使いのネットワーク内でインストールデータを配布するネットワークサーバ などもリポジトリと呼びます。

2.1. リモートインストールの手順

この章では、リモートインストールを行なうにあたって一般的なインストール 手順を示しています。それぞれの手順を利用する場合は、前提条件の一覧と 手順の概要をよくお読みください。それぞれの段階でより詳しい説明が必要 となる場合は、それぞれ提供される参照先をお読みください。

[Important]

X Window System の設定は、リモートのインストール処理では実施することが できません。インストール後にシステムに root でログインし、 telinit 3 を実行してから SaX2 を起動して、 グラフィックハードウエアを設定してください。

2.1.1. VNC を利用したシンプルなリモートインストール (固定のネットワーク設定)

この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスと、ターゲットシステムに対して設定する IP アドレスが必要です。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して VNC による 接続をし、操作を行ないます。操作手順については 第1章 YaST を利用したインストール に書かれているものと同じ手順です。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • ネットワークの動作するターゲットシステム

  • VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera など) がインストール された操作端末

  • openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  • リポジトリ側と操作端末に割り当て済みの有効な固定 IP アドレス

  • ターゲットシステムに割り当てる有効な固定 IP アドレス

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  3. ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 VNC の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 を お読みください。

    ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC ビューアや ブラウザでアクセスするためのネットワークアドレスとディスプレイ番号 が表示されます。 VNC によるインストールでは自分自身の存在を OpenSLP で通知するため、ファイアウオールで禁止されていたりしなければ Konqueror を利用して service:/slp:/ から発見することもできます。

  4. 操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。

  5. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  6. これでインストール作業は完了です。

2.1.2. VNC を利用したシンプルなリモートインストール (動的なネットワーク設定)

この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスが必要です。ネットワークの設定作業は DHCP を利用して行ないます。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して VNC による接続をし、 操作を行ないます。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • ネットワークの動作するターゲットシステム

  • VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera のいずれか) がインストール された操作端末

  • openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  • IP アドレスを提供する DHCP サーバ

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  3. ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 VNC の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 を お読みください。

    ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC ビューアや ブラウザでアクセスするためのネットワークアドレスとディスプレイ番号 が表示されます。 VNC によるインストールでは自分自身の存在を OpenSLP で通知するため、ファイアウオールで禁止されていたりしなければ Konqueror を利用して service:/slp:/ から発見することもできます。

  4. 操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。

  5. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  6. これでインストール作業は完了です。

2.1.3. VNC を利用したリモートインストール (PXE ブートと Wake on LAN を使用)

このインストール方法の場合は、全く手を触れることなくインストールすること ができます。ターゲットマシンは遠隔から開始して起動します。ユーザの操作は 実際のインストール作業でのみ必要になります。これはサイトをまたがるような 配置を行なうのに便利です。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • TFTP サーバ

  • お使いのネットワーク内で動作している DHCP サーバ

  • PXE ブートと Wake on LAN に対応したネットワークデバイスを持ち、 ネットワーク環境に接続されたターゲットシステム

  • VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera のいずれか) がインストール された操作端末

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. ターゲットシステムが起動イメージをダウンロードできるよう、 TFTP サーバを設定します。詳しい手順については 2.3.2項 「TFTP サーバの構築」 をお読み ください。

  3. 任意のマシンに IP アドレスを配布し、 TFTP サーバの場所を通知する よう DHCP サーバを設定します。詳しくは 2.3.1項 「DHCP サーバの構築」 をお読み ください。

  4. ターゲットシステムを PXE ブートができるよう設定します。詳しくは 2.3.5項 「PXE ブートのためのターゲットシステムの準備」 をお読みください。

  5. ターゲットシステムの起動処理は、 Wake on LAN を利用して開始します。 2.3.7項 「Wake on LAN」 をお読み ください。

  6. 操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。

  7. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  8. これでインストール作業は完了です。

2.1.4. SSH を利用したシンプルなリモートインストール (固定のネットワーク設定)

この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスと、ターゲットシステムに対して設定する IP アドレスが必要です。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して SSH による 接続をし、操作を行ないます。操作手順については 第1章 YaST を利用したインストール に書かれているものと同じ手順です。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • ネットワークの動作するターゲットシステム

  • SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末

  • openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  • リポジトリ側と操作端末に割り当て済みの有効な固定 IP アドレス

  • ターゲットシステムに割り当てる有効な固定 IP アドレス

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  3. ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 SSH の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 を お読みください。

    ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 SSH クライアントで アクセスするためのネットワークアドレスが表示されます。

  4. 操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2.2項 「インストールプログラムへの接続」 の方法で 接続を行ないます。

  5. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  6. これでインストール作業は完了です。

2.1.5. SSH を利用したシンプルなリモートインストール (動的なネットワーク設定)

この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスが必要です。ネットワークの設定作業は DHCP を利用して行ないます。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して SSH による接続をし、 操作を行ないます。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • ネットワークの動作するターゲットシステム

  • SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末

  • openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  • IP アドレスを提供する DHCP サーバ

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。

  3. ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 SSH の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 を お読みください。

    ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 SSH クライアントで アクセスするためのネットワークアドレスが表示されます。

  4. 操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2.2項 「インストールプログラムへの接続」 の方法で 接続を行ないます。

  5. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  6. これでインストール作業は完了です。

2.1.6. SSH を利用したリモートインストール (PXE ブートと Wake on LAN を使用)

このインストール方法の場合は、全く手を触れることなくインストールすること ができます。ターゲットマシンは遠隔から開始して起動します。

この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:

  • リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境

  • TFTP サーバ

  • IP アドレスを提供する DHCP サーバ

  • PXE ブートと Wake on LAN に対応したネットワークデバイスを持ち、 ネットワーク環境に接続されたターゲットシステム

  • SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末

この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:

  1. まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。

  2. ターゲットシステムが起動イメージをダウンロードできるよう、 TFTP サーバを設定します。詳しい手順については 2.3.2項 「TFTP サーバの構築」 をお読み ください。

  3. 任意のマシンに IP アドレスを配布し、 TFTP サーバの場所を通知する よう DHCP サーバを設定します。詳しくは 2.3.1項 「DHCP サーバの構築」 をお読み ください。

  4. ターゲットシステムを PXE ブートができるよう設定します。詳しくは 2.3.5項 「PXE ブートのためのターゲットシステムの準備」 をお読みください。

  5. ターゲットシステムの起動処理は、 Wake on LAN を利用して開始します。 2.3.7項 「Wake on LAN」 をお読み ください。

  6. 操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2項 「SSH インストール」 の方法で 接続を行ないます。

  7. あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。

  8. これでインストール作業は完了です。

2.2. インストール元のデータを保存するサーバの構築

openSUSE のインストール元として使用するサーバは、動作しているオペ レーティングシステムによって様々な設定方法が考えられます。インストール サーバとして使用するのに最も簡単なのは、 openSUSE 11.1 以降のバージョン で YaST を利用した場合です。

[Tip]

Linux マシンのインストールには Microsoft Windows のマシンを使用する できます。詳しくは 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読み ください。

2.2.1. YaST を利用したインストールサーバの構築

YaST では、ネットワークリポジトリを作成するためのグラフィカルツール を提供しています。このツールでは HTTP, FTP, NFS の各ネットワーク インストールサーバを設定することができます。

  1. まずはインストールサーバとして動作させたいマシンに対して、 root でログインします。

  2. yast2-instserver パッケージをインストールします。

  3. YaST+その他+インストールサーバ を起動します。

  4. 続いてリポジトリの種類 (HTTP, FTP, NFS のいずれか) を選択します。選択した サービスは、システム起動時に自動的に起動されるようになります。お使いの システムで既に対象のサービスが起動されている状態で、サーバの設定を手動で 行ないたい場合は、 ネットワークサービスを設定しない を選択して自動設定を行なわないようにしてください。また、どちらの場合で もインストールデータを保持するディレクトリは、サーバ内で定義しておく 必要があります。

  5. 必要なリポジトリ種類の設定を行ないます。サービスの種類によって自動設定の 手順が異なります。自動設定を行なわないように指定した場合は、この手順は 飛ばされます。

    FTP や HTTP のサービスを介してインストールデータを公開する際の、ルート ディレクトリの別名を設定します。インストールデータはそれぞれ、 ftp://サーバの IP アドレス/別名/名前 (FTP の場合) または http://サーバの IP アドレス/別名/名前 (HTTP の場合) からアクセスできるようになります。ここで、 名前 にはこの後の手順で設定するリポジトリの 名称が入ります。以前の段階で NFS を指定した場合は、ワイルドカードと エクスポートの指定を行ないます。 NFS サービスに対しては、 nfs://サーバの IP アドレス/名前 から アクセスできるようになります。 NFS とエクスポートについて、詳しくは 第18章 NFS でのファイル共有 をお読み ください。

    [Tip]ファイアウオール設定

    お使いのシステムのファイアウオール設定で、それぞれ HTTP, NFS, FTP で 使用するポートを許可していることを事前に確認しておいてください。 ファイアウオールでポートを開く を押すと許可する ことができるほか、 ファイアウオールの詳細 から 設定することもできます。

  6. ここでリポジトリの設定を行ないます。インストールメディアから目的の場所に コピーを行なう前に、まずはリポジトリの名前を指定します (製品とそのバージョン を短縮した名前を指定しておくのがお勧めです) 。 YaST では、インストール DVD のコピーを生成する代わりに、メディアの ISO イメージを提供するよう 指定することもできます。これを行なうには、関連するチェックボックスを 選択して、 ISO ファイルがローカル環境のどこに存在しているのかを指定 します。このインストールサーバを利用して配布する製品にもよりますが、 追加のリポジトリとしてアドオン CD やサービスパック CD を追加しておく 必要がある場合があります。また、インストールサーバを OpenSLP 経由で 通知したい場合は、関連するオプションを選択してください。

    [Tip]

    お使いのネットワーク環境で対応している場合は、お使いのリポジトリを OpenSLP で通知するよう指定しておくことをお勧めします。この指定を行なうことで、 それぞれのターゲットマシンでわざわざネットワークパスを指定したりする 手間を省くことができます。ターゲットシステムでは単に SLP 起動オプション を利用して起動するだけで、あとの設定を行なうことなくネットワーク リポジトリを検出することができます。詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 をお読みください。

  7. インストールデータのアップロード処理を行ないます。インストールサーバを 設定するにあたってもっとも時間のかかる処理は、実際のインストールメディアを コピーする処理です。 YaST で指示されたとおりの順序でメディアを挿入し て、コピーが完了するまでお待ちください。データのコピーが全て完了する と、既存のリポジトリに関する概要の画面に戻ります。あとは 完了 を押して終了してください。

    これでインストールサーバの準備は全て完了し、サービスを提供できるように なります。システムが起動するたびに自動的にサービスが起動しますので、 起動時に特別な作業を行なったりする必要はありません。 YaST の初期段階 でネットワークサービスの自動設定を無効化していた場合のみ、このサービス を手作業で設定して開始する必要があります。

逆にリポジトリを削除するには、削除するリポジトリを選択して 削除 を押してください。インストールデータはシステムから 削除されます。ネットワークサービスを無効化するには、関連する YaST モジュールをお使いください。

また、インストールサーバで複数の製品や複数のバージョンのインストールデータ を提供したい場合は、 YaST インストールサーバモジュールを起動して、 概要画面から 追加 ボタンを押して新しいリポジトリを 追加してください。

2.2.2. NFS リポジトリの手動構築

インストールソースとして NFS を設定するには、 2 段階の手順で行ないます。 1 つめはインストールデータを保存しておくためのディレクトリ構造の作成と インストールメディアのコピー、 2 つめはインストールデータをネットワーク 側に公開するためのエクスポート処理です。

インストールデータを保存しておくディレクトリを作成するには、下記の手順で 行ないます:

  1. root でログインします。

  2. 後の手順でインストールデータを保存しておくためのディレクトリを 作成し、そのディレクトリに移動します。たとえば下記のようになります:

    mkdir install/製品名/製品バージョン
    cd install/製品名/製品バージョン

    ここで、 製品 は製品名の略称を、 製品バージョン には製品名とバージョンの入った 文字列をそれぞれ指定します。

  3. 次に、メディアキットに含まれているそれぞれの DVD を挿入し、下記の コマンドを実行します:

    1. インストール DVD の内容全体を、インストールサーバのディレクトリに コピーします:

      cp -a /media/(DVD-ROM ドライブのパス) .

      ここで、 (DVD-ROM ドライブのパス) には 実際に DVD ドライブがマウントされているディレクトリを指定します。 お使いのシステムで使用しているドライブにもよりますが、 cdrom, cdrecorder, dvd, dvdrecorder のいずれかを指定します。

    2. ディレクトリの名称を DVD 番号に名称変更します:

      mv (DVD-ROM ドライブのパス) DVDx

      ここで、 x はコピーを行なった DVD の 番号を指定します。

次に YaST を利用して、 NFS によるリポジトリのエクスポートを行ないます。 下記の手順で実施してください:

  1. root でログインします。

  2. YaST+ネットワーク サービス+NFS サーバ を起動します。

  3. まずは 開始ファイアウオールで ポートを開く をそれぞれ選択して、 次へ を押します。

  4. 次に ディレクトリの追加 を押して、インストール ソースが存在するディレクトリを選択します。ここでは 製品バージョン を選択してください。

  5. さらに ホストの追加 を押し、インストールデータを 公開したい相手マシンのホスト名を入力します。ここでホスト名を指定する 代わりにワイルドカードやネットワークアドレスの範囲、もしくはお使いの ネットワークにおけるドメイン名を入力することもできます。あとは必要な エクスポートオプションを指定するか、もしくは多くの環境でうまく動作 できるよう既定値のままで設定します。 NFS 共有を公開する際の文法に ついて、詳しくは exports のマニュアルページを お読みください。

  6. 最後に 完了 を押します。これで openSUSE の リポジトリを保持する NFS サーバの設定は完了です。自動的に NFS サーバは 起動され、システム起動時から動作するようになります。

YaST NFS サーバモジュールを利用する代わりに NFS を手動で設定して 公開したい場合は、下記の手順で行ないます:

  1. root でログインします。

  2. /etc/exports ファイルを開き、下記の行を入力します:

    /製品バージョン *(ro,root_squash,sync)

    上記の設定では、ディレクトリ /製品バージョン を、 同じネットワーク内に属しているか、もしくはこのサーバに接続することの できる任意のホストに公開します。このサーバへのアクセスを制限するには、 汎用ワイルドカード * の代わりにネットマスクや ドメイン名を指定してください。詳しくは export のマニュアルページをお読みください。 設定ファイルを記入したら、保存して終了します。

  3. NFS のサービスをシステム起動時に稼働するよう設定するには、下記のコマンド を入力してください:

    insserv /etc/init.d/nfsserver
  4. NFS サーバを起動するには、 rcnfsserver start と入力 します。後から NFS サーバの設定を変更するには、設定ファイルを修正した あと下記のコマンドで NFS デーモンを再起動してください。 rcnfsserver restart.

OpenSLP 経由で NFS サーバを通知すると、お使いのネットワーク内にある 全てのクライアントに対してそのアドレスを通知することができます。

  1. root でログインします。

  2. /etc/slp.reg.d/install.suse.nfs.reg という名前で 設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:

    # NFS インストールサーバの登録
    service:install.suse:nfs://$HOSTNAME/リポジトリのパス/DVD1,en,65535 
    description=NFS Repository

    ここで リポジトリのパス には、 お使いのサーバにおけるインストール元のパスを指定します。

  3. 最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。

OpenSLP についての詳細は、 /usr/share/doc/packages/openslp/ ディレクトリ以下に配置されているパッケージドキュメンテーションか、 第14章 ネットワーク内の SLP サービス をお読みください。 NFS に関する詳細は、 第18章 NFS でのファイル共有 をお読みください。

2.2.3. FTP リポジトリの手動構築

FTP でのリポジトリ作成方法は、 NFS リポジトリの作成方法ととても 似ています。 FTP リポジトリについても OpenSLP を介した通知を 行なうことができます。

  1. 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」 に示された手順に従って、インストール元を保持するディレクトリを 作成します。

  2. インストール元のディレクトリを FTP サーバ経由で公開するよう 設定します:

    1. root でログインし、 YaST ソフトウエア管理を 利用して vsftpd パッケージを インストールします。

    2. FTP サーバのルートディレクトリに移動します:

      cd /srv/ftp
    3. FTP サーバのルートディレクトリ以下に、インストール元を保存する ためのサブディレクトリを作成します:

      mkdir リポジトリ

      ここで、 リポジトリ には製品名を入力 します。

    4. インストールリポジトリの内容をマウントし、 FTP サーバのルート ディレクトリ以下から閲覧できるようにします:

      mount --bind リポジトリのパス /srv/ftp/リポジトリ

      ここで、 リポジトリのパス and リポジトリ には、それぞれ該当する 値を入力してください。このマウントを恒久的に行ないたい場合は、 /etc/fstab に設定を行なってください。

    5. vsftpd コマンドで vsftpd を起動します。

  3. お使いのネットワーク環境で許可されていれば、 OpenSLP 経由で通知を 行なうことができます:

    1. /etc/slp.reg.d/install.suse.ftp.reg という 名前で設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:

      # FTP インストールサーバの登録
      service:install.suse:ftp://$HOSTNAME/リポジトリ/DVD1,en,65535 
      description=FTP Repository

      ここで リポジトリ には、お使いのサーバ内 でリポジトリが存在するディレクトリを入力します。なお、 service: の行は1行で (改行せずに) 入力しなければ なりません。

    2. 最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。

[Tip]YaST を利用した FTP サーバの構築

FTP でのインストールサーバを設定するにあたって、手作業ではなく YaST を利用したい場合は、 第21章 YaST を利用した FTP サーバの設定 にある YaST FTP サーバモジュールの使い方をお読みください。

2.2.4. HTTP リポジトリの手動構築

HTTP でのリポジトリ作成方法は、 NFS リポジトリの作成方法ととても 似ています。 HTTP リポジトリについても OpenSLP を介した通知を 行なうことができます。

  1. 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」 に示された手順に従って、インストール元を保持するディレクトリを 作成します。

  2. インストール元のディレクトリを HTTP サーバ経由で公開するよう 設定します:

    1. 20.1.2項 「インストール」 に書かれている手順に従って、 Web サーバ Apache をインストール します。 .

    2. HTTP サーバのルートディレクトリ (/srv/www/htdocs) に移動し、インストール元を 保持するためのサブディレクトリを作成します:

      mkdir リポジトリ

      ここで、 リポジトリ には製品の名前を入力 します。

    3. Web サーバのルートディレクトリ (/srv/www/htdocs) からインストール元のディレクトリをたどれるよう、シンボリックリンクを 作成します:

      ln -s リポジトリのパス /srv/www/htdocs/リポジトリ
    4. HTTP サーバの設定ファイル (/etc/apache2/default-server.conf) を修正し、 シンボリックリンクをたどれるようにします。

      Options None

      の行を

      Options Indexes FollowSymLinks

      に変更してください。

    5. あとは rcapache reload コマンドで HTTP サーバ の設定を再読み込みさせてください。

  3. お使いのネットワーク環境で許可されていれば、 OpenSLP 経由で通知を 行なうことができます:

    1. /etc/slp.reg.d/install.suse.http.reg という名前で 設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:

      # HTTP インストールサーバの登録
      service:install.suse:http://$HOSTNAME/repository/DVD1/,en,65535 
      description=HTTP Repository

      ここで リポジトリ には、お使いのサーバ内 でリポジトリが存在するディレクトリを入力します。なお、 service: の行は1行で (改行せずに) 入力しなければ なりません。

    2. 最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。

2.2.5. SMB リポジトリの管理

SMB を利用すると、 Microsoft Windows のマシンをインストール元として 使用することができます。周囲に Linux マシンが存在しない環境でも Linux の配置を行なうことができます。

Windows 共有を利用して openSUSE のリポジトリを公開するには、 下記の手順で行なってください:

  1. お使いの Windows マシンにログインします。

  2. インストール元のツリー構造全体を保持するための新しいディレクトリを 作成します。たとえば INSTALL のような名前で 作成します。

  3. Windows の文書に従って、このディレクトリを共有するよう設定します。

  4. 作成したディレクトリに移動して、 製品名 のサブディレクトリを作成します。ここで 製品名 には、実際の製品名を入力します。

  5. Enter the INSTALL/製品名 の ディレクトリに移動して、それぞれの DVD を個別のディレクトリ にコピーします。たとえば DVD1DVD2 のようなサブディレクトリになります。

SMB 共有をリポジトリとしてマウントするには、下記の手順を行ないます:

  1. インストールターゲットを起動します。

  2. インストール を選択します。

  3. F4 キーを押してリポジトリ選択の画面に移動します。

  4. SMB を選択して、 Windows マシンのホスト名か IP アドレス、および 共有名 (たとえば INSTALL/製品名/DVD1 のようになります) とユーザ名、パスワードをそれぞれ入力します。

    Enter を押すと、 YaST が起動して インストール処理が始まります。

2.2.6. サーバ内にあるインストールメディアの ISO イメージの使用

サーバのディレクトリに対してメディアの内容をコピーする代わりに、 インストールメディアの ISO イメージをインストールサーバにコピーして インストール時にターゲットにマウントさせることができます。 HTTP, NFS, FTP サーバを設定し、メディアの内容をコピーする代わりに ISO イメージを設定するには、下記の手順で行なってください:

  1. ISO イメージをダウンロードして、インストールサーバ内に保存します。

  2. root でログインします。

  3. それぞれ 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」, 2.2.3項 「FTP リポジトリの手動構築」, 2.2.4項 「HTTP リポジトリの手動構築」 で示されている手順で、インストールデータの配置先を選択および作成 します。

  4. それぞれの DVD に対してサブディレクトリを作成します。

  5. 最終的な配置先で ISO イメージをマウントします。具体的には下記の コマンドを入力します:

    mount -o loop ISO ファイルのパス リポジトリのパス/製品名/メディア X

    ここで、 ISO ファイルのパス には ダウンロードした ISO イメージファイルのパスを、 リポジトリのパス にはお使いのサーバに おける公開もとディレクトリを、 製品名 には 製品名を、 メディア X にはメディアの種類 (CD または DVD) とメディア番号をそれぞれ入力してください。

  6. それぞれ ISO イメージの枚数分だけ上記の手順を繰り返します。

  7. あとはそれぞれ 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」, 2.2.3項 「FTP リポジトリの手動構築」, 2.2.4項 「HTTP リポジトリの手動構築」 に書かれた手順で通常通りのインストールを行ないます。

システム起動時に自動で ISO イメージをマウントさせたい場合は、それぞれ のマウント項目を /etc/fstab 内に記入してください。 上記の例を fstab に記入する場合は、下記のようになります:

ISO ファイルのパス リポジトリのパス/製品名メディア X auto loop

2.3. ターゲットシステムの起動準備

この章では、より複雑な起動方法についての設定手順を示しています。 それぞれ DHCP, PXE ブート, TFTP, Wake on LAN の設定例を記載しています。

2.3.1. DHCP サーバの構築

DHCP サーバを構築するには、 2 つの方法があります。 1 つは openSUSE 固有の方法として YaST のグラフィカルインターフェイスを 利用する方法、もう 1 つは手作業で設定ファイルを変更する方法です。 DHCP サーバについての詳細は、 第16章 DHCP をお読みください。

2.3.1.1. YaST を利用した DHCP サーバの構築

ネットワーククライアントに対して TFTP サーバの場所を通知し、インストール ターゲットが使用すべきブートイメージファイルを指定するには、 DHCP サーバ の設定に 2 つの項目を追記する必要があります。

  1. DHCP サーバの動作しているマシンに対して、 root でログインします。

  2. yast2-dhcp-server パッケージをインストールします。

  3. YaST+ネットワーク サービス+DHCP サーバ を起動 します。

  4. セットアップウイザードを利用して基本的な DHCP サーバの設定を済ませます。

  5. 熟練者設定 を押し、スタートアップダイアログを 抜ける際に表示される警告メッセージが表示されたら、 はい を選択します。

  6. まずは 設定済みの宣言 ダイアログでは、 新しいシステムが存在するサブネットを選択して 編集 を押します。

  7. サブネットの設定 ダイアログでは、 サブネットの設定に新しいオプションを追加するため、 追加 ボタンを押します。

  8. filename を選択し、値には pxelinux.0 と入力します。

  9. さらにもう 1 つのオプション (next-server) を追加し、値として TFTP サーバのアドレスを入力します。

  10. OK ボタンを押してから 完了 ボタンを押し、 DHCP サーバ設定を完了します。

特定のホストに対して固定の IP アドレスを割り当てるよう DHCP サーバを 設定するには、 DHCP サーバモジュール内の 熟練者設定 (ステップ 5) を押し、 追加 ボタンから新しいホストを追加して ください。あとはオプションとして hardwarefixed-address を追加し、それぞれ値として ハードウエアアドレスと割り当てる IP アドレスを指定してください。

2.3.1.2. DHCP サーバの手動構築

お使いのネットワーククライアントに対して自動でアドレスを割り当てるだけ ではなく、ターゲットマシンからインストールプログラムを起動できるように する目的で、 TFTP サーバとその中でのファイルを指定する必要があります。

  1. DHCP サーバの動作しているマシンに対して、 root でログインします。

  2. /etc/dhcpd.conf 内に配置されているお使いの DHCP サーバ設定ファイルについて、下記のような行を追記します:

    subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 { 
      range dynamic-bootp 192.168.1.200 192.168.1.228;
      # PXE 関連の項目
      # 
      # "next-server" には、使用すべき TFTP サーバのアドレスを指定します。
      next-server TFTP サーバの IP アドレス: 
      #
      # "filename" には、 /srv/tftpboot 以下に配置する pxelinux のファイル名
      # を指定します。
      filename  "pxelinux.0";
    }

    Replace ここで、 TFTP サーバの IP アドレス には 実際の TFTP サーバのアドレスを記入します。 dhcpd.conf で利用可能なオプションについて、 詳しくは dhcpd.conf のマニュアルページを お読みください。

  3. rcdhcpd restart コマンドを実行し、 DHCP サーバを 再起動します。

PXE と Wake on LAN を起動時に使用し、 SSH でリモートコントロールを行ない たい場合は、インストールターゲットに対して DHCP サーバから固定の IP アドレスを割り当てる必要があります。固定の IP アドレスを割り当てるには、 上記の例にさらに下記のような追記を行なう必要があります:

group { 
  # PXE 関連の項目
  # 
  # "next-server" には、使用すべき TFTP サーバのアドレスを指定します。
  next-server TFTP サーバの IP アドレス: 
  #
  # "filename" には、 /srv/tftpboot 以下に配置する pxelinux のファイル名
  # を指定します。
  filename  "pxelinux.0";
  host test {
    hardware ethernet MAC アドレス; 
    fixed-address 割り当てる IP アドレス;
    }
}

host の項目では、まずインストールターゲットのホスト名を指定します。 指定したホストに対してホスト名と IP アドレスを指定するには、その ホストのハードウエアアドレス (MAC アドレス) を知っておく必要があり ます。それぞれの値はご自身の環境に応じて修正してください。

DHCP サーバを再起動すると、指定したホストに固定の IP アドレスが 割り当てられますので、 SSH を介して接続できるようになります。

2.3.2. TFTP サーバの構築

TFTP サーバは YaST で設定することができるほか、 xinetd と TFTP に対応 した他の Linux オペレーティングシステム上で、手作業による設定を行なうこと もできます。 TFTP サーバはターゲットシステムが起動するための起動イメージ を配信します。

2.3.2.1. YaST を利用した TFTP サーバの構築

  1. root でログインします。

  2. yast2-tftp-server パッケージ をインストールします。

  3. YaST+ネットワーク サービス+TFTP サーバ を 起動し、指示されたとおりにパッケージをインストールします。

  4. その後 有効化 を選択し、サーバを起動して システムの起動処理に組み込まれていることを確認します。 これでサーバの起動準備は完了です。 xinetd は起動時に tftpd を 開始するようになります。

  5. なお、お使いのマシンで動作しているファイアウオールで適切なポートを開く ため、 ファイアウオールでポートを開く も選択して おいてください。お使いのサーバでファイアウオールが有効になっていない 場合は、このオプションは利用できません (選択する必要はありません) 。

  6. 次に 参照 を押して、起動イメージのディレクトリを 指定します。既定のディレクトリ /tftpboot は 自動的に作成され、選択されています。

  7. 最後に 完了 を押すと設定が保存され、サーバが 起動されます。

2.3.2.2. TFTP サーバの手動構築

  1. root でログインし、それぞれ tftpxinetd パッケージをインストールします。

  2. /srv/tftpboot/srv/tftpboot/pxelinux.cfg のディレクトリが 存在していなければ、それぞれ作成します。

  3. 2.3.3項 「PXE ブートの使用」 で説明されて いる内容をもとにして、起動イメージとして必要なファイルを配置します。

  4. /etc/xinetd.d ディレクトリ以下にある xinetd の 設定ファイルを修正し、起動時に TFTP サーバが動作するようにします:

    1. tftp ファイルが存在していない場合は touch tftp コマンドでファイルを作成し、 chmod 755 tftp コマンドを実行して読み取れる ようにします。

    2. tftp ファイルを開いて、下記のとおり入力 します:

      service tftp 
      { 
              socket_type            = dgram
              protocol               = udp 
              wait                   = yes 
              user                   = root 
              server                 = /usr/sbin/in.tftpd 
              server_args            = -s /srv/tftpboot 
              disable                = no 
      }
      
    3. ファイルを保存し、 rcxinetd restart コマンドで xinetd を再起動します。

2.3.3. PXE ブートの使用

PXE の完全な仕様説明や技術的な背景に関する情報は、 Preboot Execution Environment (PXE) 仕様として (http://www.pix.net/software/pxeboot/archive/pxespec.pdf; 英語) に説明があります。

  1. インストールリポジトリ内にある boot/<アーキテクチャ>/loader ディレクトリ に移動し、 linux, initrd, message, biostest, memtest の各ファイルを /srv/tftpboot ディレクトリにコピーします。 下記のように行なってください:

    cp -a linux initrd message biostest memtest /srv/tftpboot
  2. YaST からインストール DVD を利用して syslinux パッケージをインストールします。

  3. 以下のようにして /usr/share/syslinux/pxelinux.0 ファイルを /srv/tftpboot ディレクトリにコピー します:

    cp -a /usr/share/syslinux/pxelinux.0 /srv/tftpboot
         
  4. 使用するインストールリポジトリのあるディレクトリに移動し、 isolinux.cfg ファイルを /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default にコピーします:

    cp -a boot/<アーキテクチャ>/loader/isolinux.cfg /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default
         
  5. /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default ファイルを 編集し、それぞれ readinfo, framebuffer で始まる行を削除します。

  6. それぞれ failsafeapic ラベルの行の下に、それぞれ下記の追加行を挿入します:

    insmod=カーネルモジュール

    この行は、 PXE クライアントがネットワークインストールを行なうのに 必要な、ネットワークカーネルモジュールを指定しています。 カーネルモジュール には、お使いのマシン に接続されたネットワークデバイスに対する適切なモジュール名を入力 してください。

    netdevice=インターフェイス名

    この行は、ネットワークインストールを行なう際に使用するネットワーク インターフェイスの名前を指定しています。この行は、クライアントマシン に複数のネットワークカードが接続されている場合にのみ必要な行です。 1 枚のネットワークカードしか接続されていない場合は省略可能です。

    install=nfs://インストールサーバの IP アドレス/リポジトリのパス/DVD1

    この行では、クライアントマシンをインストールするための NFS サーバと リポジトリの場所を指定しています。それぞれ インストールサーバの IP アドレス には 利用するインストールサーバの IP アドレスを、 リポジトリのパス にはリポジトリへの パスを入力します。なお、 HTTP, FTP, SMB の各リポジトリについても 同じような方法で入力します。それぞれ冒頭の部分を http, ftp, smb に書き換えてください。

    [Important]

    SSH や VNC の起動パラメータのようなその他の起動オプションを指定したい 場合は、 install の行に追記してください。 パラメータの概要と使用例は、 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 をお読みください。

    [Tip]カーネルと initrd ファイル名の変更

    カーネルと initrd イメージファイルについては、それぞれ異なる名前を 指定することもできます。これは、同じ起動サーバから異なるオペレーティング システムを提供したい場合に便利な機能です。ただし、 TFTP サーバで PXE ブートを行なう場合のファイル名には、 1 つまでしかピリオド (.) が 許されないことに注意してください。

    下記は /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default ファイルの 例です。お使いのネットワーク設定にあわせてプロトコルのプレフィクス (接頭辞) 部分を変更し、必要であればインストーラへの接続方法についても vnc, vncpasswordusessh, sshpassword などの オプションを追記してください。なお、改行を挟んで行の続きを記入する には、 \ を行末に挿入してください。

    default harddisk 
    
    # default
    label linux 
      kernel linux 
      append initrd=initrd ramdisk_size=65536 \
         install=nfs://インストールサーバの IP アドレス/リポジトリのパス/製品名/DVD1 
               
    # rescue
    label rescue 
      kernel linux 
      append initrd=initrd ramdisk_size=65536 rescue=1 
    
    # bios test
    label firmware
      kernel linux
      append initrd=biostest,initrd splash=silent install=exec:/bin/run_biostest showopts
    
    # memory test 
    label memtest 
      kernel memtest 
    
    # hard disk
    label harddisk
      localboot 0
    
    implicit     0 
    display      message
    prompt       1 
    timeout      100
  7. ここで、 インストールサーバの IP アドレスリポジトリのパス にはお使いの環境に合わせた 値を代入してください。

    なお、次の章ではこのセットアップ方法で使用している PXELINUX の オプションについて、簡単な説明を行なっています。詳しい説明は syslinux パッケージの説明をお読みください。 /usr/share/doc/packages/syslinux/ 以下の ディレクトリに各種文書が配置されています。

2.3.4. PXELINUX 設定オプション

以下には PXELINUX の設定ファイルで利用する全てのオプションが示されて います。

DEFAULT カーネルオプション...

既定のカーネルコマンドラインを指定します。 PXELINUX で自動的に起動した 場合は、 DEFAULT の後に続く文字列が起動プロンプトに入力されたものとして 扱われます。また、自動起動したことを示すために "auto" オプションも追加 されます。

設定ファイルが存在していない場合や、 DEFAULT の項目が設定ファイルに 存在しなかった場合は、カーネル名 linux でオプション指定 無しであるものとされます。

APPEND オプション...

カーネルのコマンドラインに対して 1 つ以上のオプションを追加します。 この項目は自動的に起動された場合も手動で選択した場合も追加されます。 オプションはカーネルコマンドラインの先頭のほうから追加されるため、 入力されたカーネルオプションは以前のものを上書きするような形に なります。

LABEL ラベル名 KERNEL イメージ APPEND オプション...

起動するカーネルとして ラベル名 を入力した 場合、 PXELINUX は イメージ で指定した カーネルを読み込み、ファイルのグローバルセクションのオプション (LABEL コマンドの外側にあるもの) を 本項の APPEND オプションで指定したものに置き換えます。 image の既定値は label と同じもので、 APPEND が書かれていなければ グローバルセクションの値が使用されます。最大で 128 個の LABEL 項目までが入力できます。

なお、 GRUB では下記の書式を使用します:

title (タイトル)
  kernel イメージオプション 
  initrd initrd ファイル名

PXELINUX では下記の書式を使用します:

label (タイトル) 
  kernel イメージ 
  append オプション

ラベルは MS-DOS のファイル名と同じような解釈を行ない、それらは全て ユニークでなければなりません。たとえば v2.6.30v2.6.31 というラベルがあった場合、それらは DOS ファイル 名では同じものを指してしまうため、区別できないものになってしまいます。

また、イメージは必ずしも Linux カーネルである必要はありません; ブートセクターや COMBOOT ファイルでもかまいません。

APPEND -

何も追加しないことを指定します。 LABEL セクション内の APPEND の後にパラメータとして 1 文字のハイフンを指定 すると、グローバルセクションの APPEND を上書きする 宣言になります。

LOCALBOOT 種類

PXELINUX では、 KERNEL を指定する代わりに LOCALBOOT 0 を指定すると、カーネルを起動する代わりに 指定したローカルディスクを起動するようになります。

種類

説明

0

通常どおりの起動を行ないます

4

Universal Network Driver Interface (UNDI) をメモリ内に保持したまま ローカル起動を行ないます

5

Universal Network Driver Interface (UNDI) を含めた PXE スタック全体 をメモリ内に保持したままローカル起動を行ないます

その他の値は未定義です。 UNDI や PXE スタックについて詳しく知らない 場合は、 0 を指定してください。

TIMEOUT 制限時間

自動的な起動を行なうまでの起動プロンプトの待機時間を指定します。 単位は 1/10 秒で、何らかのキーボード入力が起こるとコマンドのユーザ 入力が始まったものと見なして自動起動がキャンセルされます。 0 を指定 すると、時間切れにならないようになります (既定値) 。利用可能な最大の 値は 35996 (1 時間より少し少ない値) です。

PROMPT フラグ

フラグ に 0 を指定すると、 Shift キーや Alt が押されるか、もしくは Caps LockScroll Lock がロックされている場合にのみ 起動プロンプトを表示します (既定値) 。 フラグ に 1 を 指定すると、起動プロンプトは常に表示されます。

F2  ファイル名
F1  ファイル名 
..etc... 
F9  ファイル名
F10 ファイル名

起動プロンプトでそれぞれのファンクションキーを押した時に表示する ファイルを指定します。これは起動前のオンラインヘルプ (たとえばカーネルの コマンドラインオプション) を表示する際などに使用することができます。 なお、従来のバージョンとの互換性を確保するため、 F10F0 として入力することもできます。なお、現時点では F11F12 にファイル名を割り当てる ことはできません。

2.3.5. PXE ブートのためのターゲットシステムの準備

BIOS での起動順序に PXE 起動を含めるようにして、システムの BIOS が PXE ブートできるように設定します。

[Warning]BIOS 起動順序

BIOS の設定では、 PXE の起動をハードディスクの起動よりも優先するよう 設定しないでください。このように設定してしまうと、システム起動時に 毎回 PXE 起動が行なわれてしまい、インストールを毎回繰り返すことに なってしまいます。

2.3.6. Wake on LAN のためのターゲットシステムの準備

Wake on LAN (WOL) を利用するには、事前に適切な BIOS オプションを設定して おく必要があります。また、ターゲットシステムの MAC アドレスも知っておく 必要があります。 MAC アドレスは Wake on LAN の実施に必要な情報です。

2.3.7. Wake on LAN

Wake on LAN は、そのマシンの MAC アドレスを含む特別なネットワークパケット を送信することで電源を入れる仕組みです。世界中にある各マシンにはユニーク な MAC 識別子が割り当てられているため、異なるマシンを誤って起動してしまう ようなことは考える必要がありません。

[Important]異なるネットワークセグメントをまたがる Wake on LAN

コントロールする側のマシンが起動すべきインストールターゲットと同じ ネットワークセグメント内に存在していない場合は、マルチキャストとして WOL (Wake on LAN) パケットを送信するか、同じネットワークセグメント内に 存在するマシンを遠隔から操作して WOL パケットを送信すると Wake on LAN を実現することができます。

2.4. インストールのためのターゲットシステムの起動

基本的には 2.3.7項 「Wake on LAN」2.3.3項 「PXE ブートの使用」 で示したもの以外に、 2 種類の方法でのインストール起動方法があります。 ファンクションキーで設定して既定のオプションで起動する方法と、特定の ハードウエアを使用する際に、カーネルに指定する必要がある起動オプションを 起動画面で入力する方法です。

2.4.1. 既定の起動オプションの使用

起動オプションについては 第1章 YaST を利用したインストール で説明しています。 通常は単に インストール を選択すればインストールの 起動処理が始まります。

何らかの問題が発生した場合は、 インストール—ACPI なし を 選択するか、 インストール—安全 設定 を選択して ください。インストール処理時のトラブルシューティングについて、詳しくは 項 「インストールの問題」 (付録A ヘルプとトラブルシューティング, ↑スタートアップ) をお読みください。

画面の下の方には、特定の環境で必要となるような拡張機能の案内が示されて います。実際のパラメータ (詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください) を覚えることなく、ファンクションキーを利用してインストール時の 追加オプションを指定することができます。利用可能なファンクションキーに ついて、詳しくは 1.5項 「起動画面」 をお読み ください。

2.4.2. カスタムな起動オプションの使用

適切な起動オプションを使用すると、インストールの処理をより便利に行なう ことができるようになります。多くのパラメータは linuxrc のルーチンを利用 して後から指定することもできますが、起動オプションを利用した方がより 簡単に指定することができます。セットアップを自動化するような場合は、 initrd ファイルや info ファイル で与えることもできます。

下記の表には、この章で示したインストールシナリオと起動時に必要な パラメータ、および関連する起動オプションの一覧を示しています。それぞれ この表に現われている順序で追記していってください。たとえば (全てを 1 行 で記述します):

install=xxx netdevice=xxx hostip=xxx netmask=xxx vnc=xxx vncpassword=xxx

ここでそれぞれの xxx には、お使いの環境に合わせた 値を代入してください。

第1章 YaST を利用したインストール

起動に必要なパラメータ. なし

起動オプション. 設定不要です

2.1.1項 「VNC を利用したシンプルなリモートインストール (固定のネットワーク設定)」

起動に必要なパラメータ

  • インストールサーバの場所

  • ネットワークデバイス

  • IP アドレス

  • ネットマスク

  • ゲートウエイ

  • VNC の有効化設定

  • VNC パスワード

起動オプション

  • install=(nfs,http,​ftp,smb)://インストールメディアのパス

  • netdevice=ネットワークデバイス (複数のネットワークデバイスが接続されている場合にのみ、必要な設定です)

  • hostip=IP アドレス

  • netmask=ネットマスク

  • gateway=IP ゲートウエイ

  • vnc=1

  • vncpassword=パスワード

2.1.2項 「VNC を利用したシンプルなリモートインストール (動的なネットワーク設定)」

起動に必要なパラメータ

  • インストールサーバの場所 

  • VNC の有効化設定

  • VNC パスワード

起動オプション

  • install=(nfs,http,​ftp,smb)://インストールメディアのパス

  • vnc=1

  • vncpassword=パスワード

2.1.3項 「VNC を利用したリモートインストール (PXE ブートと Wake on LAN を使用)」

起動に必要なパラメータ

  • インストールサーバの場所

  • TFTP サーバの場所

  • VNC の有効化設定

  • VNC パスワード

起動オプション.  起動時のオプションは設定できません; 起動処理は PXE と DHCP で管理される仕組みであるためです

2.1.4項 「SSH を利用したシンプルなリモートインストール (固定のネットワーク設定)」

起動に必要なパラメータ

  • インストールサーバの場所

  • ネットワークデバイス

  • IP アドレス

  • ネットマスク

  • ゲートウエイ

  • SSH の有効化設定

  • SSH パスワード

起動オプション

  • install=(nfs,http,​ftp,smb)://インストールメディアのパス

  • netdevice=ネットワークデバイス (複数のネットワークデバイスが接続されている場合にのみ、必要な設定です)

  • hostip=IP アドレス

  • netmask=ネットマスク

  • gateway=IP ゲートウエイ

  • usessh=1

  • sshpassword=パスワード

2.1.5項 「SSH を利用したシンプルなリモートインストール (動的なネットワーク設定)」

起動に必要なパラメータ

  • インストールサーバの場所

  • SSH の有効化設定

  • SSH パスワード

起動オプション

  • install=(nfs,http,​ftp,smb)://インストールメディアのパス

  • usessh=1

  • sshpassword=パスワード

2.1.6項 「SSH を利用したリモートインストール (PXE ブートと Wake on LAN を使用)」
  • インストールサーバの場所

  • TFTP サーバの場所

  • SSH の有効化設定

  • SSH パスワード

起動オプション.  起動時のオプションは設定できません; 起動処理は PXE と DHCP で管理される仕組みであるためです

[Tip]linuxrc 起動オプションに関する詳細

Linux システムを起動するにあたって使用される linuxrc の起動オプション について、詳しくは http://ja.opensuse.org/SDB:Linuxrc をお読みください。

2.5. インストール処理の監視

インストール処理を遠隔から監視するには、いくつかの方法があります。 インストール時に適切な起動オプションを指定すると、それぞれ VNC または SSH でインストール処理を操作し、遠隔からシステム設定を行なうことが できます。

2.5.1. VNC インストール

VNC ビューアと呼ばれるソフトウエアを使用することで、任意のオペレーティング システムが動作するマシンから openSUSE のインストールを遠隔で 操作することができます。この章では、 VNC ビューアアプリケーションや Web ブラウザを利用した設定方法を示しています。

2.5.1.1. VNC インストールの準備

VNC インストールを行なうにあたって、ターゲットシステムで行なわなければ ならないことは、インストールの起動段階で必要な起動オプションを設定する ことだけです (詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください) 。ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC クライアントがインストールプログラムに接続されるのを待つ動作になり ます。

その後インストールプログラムは、接続に必要な IP アドレスとディスプレイ 番号を通知します。ターゲットシステムに対して物理的なアクセスを行なう ことができる環境の場合は、インストール処理の起動後に情報が提供され ます。 VNC クライアントを起動して提供された情報を入力し、さらに パスワードも入力してください。

また、インストールターゲットは自分自身を OpenSLP でアナウンスする仕組み になっているため、物理的なアクセスが行なえない環境でもインストール ターゲットに関する情報を SLP ブラウザで取得することができます。 OpenSLP 対応のネットワーク環境とマシンで、下記のようにして行なってください:

  1. KDE のファイルブラウザ兼 Web ブラウザである Konqueror を起動します。

  2. 場所バー内に service://yast.installation.suse と 入力します。 Konqueror のウインドウ内にターゲットシステムが表示される はずです。あとはそのアイコンを選択することで、 KDE の VNC ビューアが 起動され、インストール処理が始まります。また、 VNC ビューアを単体で 起動して、提供される IP アドレスの後ろに :1 を追加 した文字列を入力することで接続することもできます。

2.5.1.2. インストールプログラムへの接続

基本的に VNC サーバ (この場合インストールターゲット) に接続するには、 2 種類の方法があります。任意のオペレーティングシステムで動作する独立した VNC ビューアを立ち上げる方法と、 Java の利用できる Web ブラウザを利用する 方法です。

VNC を利用する場合、他の Linux ディストリビューションや Windows 、 Mac OS などのような任意のオペレーティングシステムからインストールを操作 することができます。

Linux マシンの場合は、 tightvnc パッケージが インストールされていることを確認してください。 Windows マシンの場合は、 同アプリケーションの Windows 移植版をインストールしてください。 TightVNC の Windows 版は、 TightVNC の Web ページ (http://www.tightvnc.com/download.html) からダウンロード することができます。

ターゲットマシン上で動作しているインストールプログラムに接続するには、 下記のようにして行ないます:

  1. VNC ビューアを起動します。

  2. SLP ブラウザやインストールプログラム自身が提供する、インストール ターゲットの IP アドレスとディスプレイ番号をそれぞれ入力します:

    IP アドレス:ディスプレイ番号

    あとは通常のローカルインストールの時と同じように、 YaST の画面が お使いのウインドウ内に表示されるようになります。

Web ブラウザを利用してインストールプログラムに接続する場合は、 VNC ソフトウエアのインストールが不要になるだけでなく、オペレーティング システムについても任意のものを選択することができるようになります。 お使いのブラウザアプリケーションが Java に対応しているもの (Firefox, Internet Explorer, Konqueror, Opera など) であれば、どの環境でも Linux システムのインストールを行なうことができます。

VNC インストールを行なうには、下記のようにして行ないます:

  1. お使いの Web ブラウザを起動します。

  2. アドレス欄に下記のとおり入力します:

    http://ターゲットの IP アドレス:5801
  3. VNC のパスワードを尋ねられたらパスワードを入力します。あとは 通常のローカルインストールと同様の YaST 画面がブラウザ内に表示 されます。

2.5.2. SSH インストール

SSH を利用すると、任意の SSH クライアントソフトウエアの動作する マシンから、インストール作業の遠隔操作を行なうことができます。

2.5.2.1. SSH インストールの準備

必要なソフトウエアパッケージ (Linux の場合は OpenSSH 、 Windows の 場合は PuTTY) のインストールのほか、 SSH インストールには適切な 起動オプションを指定する必要があります。詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください。 OpenSSH は SUSE Linux ベースのオペレーティングシステムで あれば既定でインストールされます。

2.5.2.2. インストールプログラムへの接続

  1. インストールターゲットの IP アドレスを取得します。ターゲットマシンに 物理的なアクセスを行なうことのできる環境であれば、起動時にコンソール に表示された IP アドレスを読んでください。そうでない環境の場合は、 DHCP サーバの設定から、そのホストに割り当てられた IP アドレスを 取得してください。

  2. 下記のコマンドラインを入力します:

    ssh -X root@
    ターゲットの IP アドレス

    ここで、 ターゲットの IP アドレス には、 実際のインストールターゲットの IP アドレスを記入してください。

  3. ユーザ名を尋ねられたら、 root と入力します。

  4. パスワードを尋ねられたら、 SSH 起動オプションで指定しておいたパスワード を入力します。認証が完了すると、インストールターゲットのコマンドライン プロンプトが表示されます。

  5. インストールプログラムを起動するため、 yast と 入力してください。あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されている 通常の YaST 画面が表示されます。


openSUSE リファレンス 13.1