目次
openSUSE® は異なる複数の方法でインストールすることができます。 第1章 YaST を利用したインストール で記述されている方法のほか、 openSUSE をネットワーク経由でインストールしたり、全く手を触れることなく インストールしたりすることもできます。
それぞれの方法は 2 つの簡単なチェックを行なうところから始まります: 1 つめはその方法を利用するにあたっての前提条件を確認すること、 2 つめは基本的な流れを確認することです。 詳しい手順は、それぞれのインストール方法を決定することで決まります。
下記の章では、これから openSUSE をインストールしようとしている システムを ターゲットシステム または インストールターゲット と呼びます。また、 リポジトリ (以前は 「インストールソース 」 と呼んでいました) は、インストール作業に必要な全てのデータが ある場所のことを指します。たとえば物理メディアである CD や DVD のほか、 お使いのネットワーク内でインストールデータを配布するネットワークサーバ などもリポジトリと呼びます。 |
この章では、リモートインストールを行なうにあたって一般的なインストール 手順を示しています。それぞれの手順を利用する場合は、前提条件の一覧と 手順の概要をよくお読みください。それぞれの段階でより詳しい説明が必要 となる場合は、それぞれ提供される参照先をお読みください。
X Window System の設定は、リモートのインストール処理では実施することが
できません。インストール後にシステムに |
この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスと、ターゲットシステムに対して設定する IP アドレスが必要です。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して VNC による 接続をし、操作を行ないます。操作手順については 第1章 YaST を利用したインストール に書かれているものと同じ手順です。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
ネットワークの動作するターゲットシステム
VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera など) がインストール された操作端末
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
リポジトリ側と操作端末に割り当て済みの有効な固定 IP アドレス
ターゲットシステムに割り当てる有効な固定 IP アドレス
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 VNC の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 を お読みください。
ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC ビューアや
ブラウザでアクセスするためのネットワークアドレスとディスプレイ番号
が表示されます。 VNC によるインストールでは自分自身の存在を
OpenSLP で通知するため、ファイアウオールで禁止されていたりしなければ
Konqueror を利用して service:/
や
slp:/
から発見することもできます。
操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスが必要です。ネットワークの設定作業は DHCP を利用して行ないます。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して VNC による接続をし、 操作を行ないます。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
ネットワークの動作するターゲットシステム
VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera のいずれか) がインストール された操作端末
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
IP アドレスを提供する DHCP サーバ
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 VNC の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 を お読みください。
ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC ビューアや
ブラウザでアクセスするためのネットワークアドレスとディスプレイ番号
が表示されます。 VNC によるインストールでは自分自身の存在を
OpenSLP で通知するため、ファイアウオールで禁止されていたりしなければ
Konqueror を利用して service:/
や
slp:/
から発見することもできます。
操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
このインストール方法の場合は、全く手を触れることなくインストールすること ができます。ターゲットマシンは遠隔から開始して起動します。ユーザの操作は 実際のインストール作業でのみ必要になります。これはサイトをまたがるような 配置を行なうのに便利です。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
TFTP サーバ
お使いのネットワーク内で動作している DHCP サーバ
PXE ブートと Wake on LAN に対応したネットワークデバイスを持ち、 ネットワーク環境に接続されたターゲットシステム
VNC ビューアと呼ばれるソフトウエア、もしくは Java の利用できるブラウザ (Firefox, Konqueror, Internet Explorer, Opera のいずれか) がインストール された操作端末
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
ターゲットシステムが起動イメージをダウンロードできるよう、 TFTP サーバを設定します。詳しい手順については 2.3.2項 「TFTP サーバの構築」 をお読み ください。
任意のマシンに IP アドレスを配布し、 TFTP サーバの場所を通知する よう DHCP サーバを設定します。詳しくは 2.3.1項 「DHCP サーバの構築」 をお読み ください。
ターゲットシステムを PXE ブートができるよう設定します。詳しくは 2.3.5項 「PXE ブートのためのターゲットシステムの準備」 をお読みください。
ターゲットシステムの起動処理は、 Wake on LAN を利用して開始します。 2.3.7項 「Wake on LAN」 をお読み ください。
操作端末側では VNC ビューアのアプリケーションを起動するか、もしくは ブラウザを起動して、 2.5.1項 「VNC インストール」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスと、ターゲットシステムに対して設定する IP アドレスが必要です。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して SSH による 接続をし、操作を行ないます。操作手順については 第1章 YaST を利用したインストール に書かれているものと同じ手順です。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
ネットワークの動作するターゲットシステム
SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
リポジトリ側と操作端末に割り当て済みの有効な固定 IP アドレス
ターゲットシステムに割り当てる有効な固定 IP アドレス
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 SSH の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 を お読みください。
ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 SSH クライアントで アクセスするためのネットワークアドレスが表示されます。
操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2.2項 「インストールプログラムへの接続」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
この種類のインストールでは、ターゲットシステムを起動してインストール の準備を行なうため、ターゲットシステムへの物理的な (ネットワークなどの 遠隔手段に頼らない) アクセスが必要です。ネットワークの設定作業は DHCP を利用して行ないます。インストールプログラムが起動した後、遠隔のワーク ステーションからインストールプログラムに対して SSH による接続をし、 操作を行ないます。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
ネットワークの動作するターゲットシステム
SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) 。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
IP アドレスを提供する DHCP サーバ
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
openSUSE のメディアキットに含まれる起動メディア (CD, DVD, USB フラッシュメモリ) を利用して、ターゲットシステムを起動します。 openSUSE のメディアキットについて、詳しくは 1.1項 「インストールメディアの選択」 をお読みください。
ターゲットシステムでの起動画面が表示されたら、 SSH の設定とリポジトリ のアドレスを指定するため、起動オプションに入力を行ないます。 詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 を お読みください。
ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 SSH クライアントで アクセスするためのネットワークアドレスが表示されます。
操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2.2項 「インストールプログラムへの接続」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
このインストール方法の場合は、全く手を触れることなくインストールすること ができます。ターゲットマシンは遠隔から開始して起動します。
この種類のインストールを行なうには、下記の要件を満たす必要があります:
リモートのリポジトリ: NFS, HTTP, FTP, SMB のうちのいずれかのプロトコルに 対応したサーバと、そこに接続するためのネットワーク環境
TFTP サーバ
IP アドレスを提供する DHCP サーバ
PXE ブートと Wake on LAN に対応したネットワークデバイスを持ち、 ネットワーク環境に接続されたターゲットシステム
SSH クライアントソフトウエアがインストールされた操作端末
この方法でインストールを行なうには、下記の手順で行なってください:
まずは 2.2項 「インストール元のデータを保存するサーバの構築」 に書かれた手順に従ってリポジトリを構築します。 NFS, HTTP, FTP のいずれかのネットワークサーバを選択してください。 なお、 SMB リポジトリを構築する場合は、 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読みください。
ターゲットシステムが起動イメージをダウンロードできるよう、 TFTP サーバを設定します。詳しい手順については 2.3.2項 「TFTP サーバの構築」 をお読み ください。
任意のマシンに IP アドレスを配布し、 TFTP サーバの場所を通知する よう DHCP サーバを設定します。詳しくは 2.3.1項 「DHCP サーバの構築」 をお読み ください。
ターゲットシステムを PXE ブートができるよう設定します。詳しくは 2.3.5項 「PXE ブートのためのターゲットシステムの準備」 をお読みください。
ターゲットシステムの起動処理は、 Wake on LAN を利用して開始します。 2.3.7項 「Wake on LAN」 をお読み ください。
操作端末側では SSH クライアントソフトウエアを起動し、 2.5.2項 「SSH インストール」 の方法で 接続を行ないます。
あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されているインストール手順に 従って行なってください。インストールの最終段階ではターゲットシステムを 再起動しますが、この際はターゲットシステムに接続しなおしてください。
これでインストール作業は完了です。
openSUSE のインストール元として使用するサーバは、動作しているオペ レーティングシステムによって様々な設定方法が考えられます。インストール サーバとして使用するのに最も簡単なのは、 openSUSE 11.1 以降のバージョン で YaST を利用した場合です。
Linux マシンのインストールには Microsoft Windows のマシンを使用する できます。詳しくは 2.2.5項 「SMB リポジトリの管理」 をお読み ください。 |
YaST では、ネットワークリポジトリを作成するためのグラフィカルツール を提供しています。このツールでは HTTP, FTP, NFS の各ネットワーク インストールサーバを設定することができます。
まずはインストールサーバとして動作させたいマシンに対して、
root
でログインします。
yast2-instserver
パッケージをインストールします。
+ + を起動します。
続いてリポジトリの種類 (HTTP, FTP, NFS のいずれか) を選択します。選択した サービスは、システム起動時に自動的に起動されるようになります。お使いの システムで既に対象のサービスが起動されている状態で、サーバの設定を手動で 行ないたい場合は、
を選択して自動設定を行なわないようにしてください。また、どちらの場合で もインストールデータを保持するディレクトリは、サーバ内で定義しておく 必要があります。必要なリポジトリ種類の設定を行ないます。サービスの種類によって自動設定の 手順が異なります。自動設定を行なわないように指定した場合は、この手順は 飛ばされます。
FTP や HTTP のサービスを介してインストールデータを公開する際の、ルート
ディレクトリの別名を設定します。インストールデータはそれぞれ、
ftp://
(FTP の場合) または
サーバの IP アドレス
/別名
/名前
http://
(HTTP の場合) からアクセスできるようになります。ここで、
サーバの IP アドレス
/別名
/名前
名前
にはこの後の手順で設定するリポジトリの
名称が入ります。以前の段階で NFS を指定した場合は、ワイルドカードと
エクスポートの指定を行ないます。 NFS サービスに対しては、
nfs://
から
アクセスできるようになります。
NFS とエクスポートについて、詳しくは 第18章 NFS でのファイル共有 をお読み
ください。
サーバの IP アドレス
/名前
ファイアウオール設定 | |
---|---|
お使いのシステムのファイアウオール設定で、それぞれ HTTP, NFS, FTP で 使用するポートを許可していることを事前に確認しておいてください。 を押すと許可する ことができるほか、 から 設定することもできます。 |
ここでリポジトリの設定を行ないます。インストールメディアから目的の場所に コピーを行なう前に、まずはリポジトリの名前を指定します (製品とそのバージョン を短縮した名前を指定しておくのがお勧めです) 。 YaST では、インストール DVD のコピーを生成する代わりに、メディアの ISO イメージを提供するよう 指定することもできます。これを行なうには、関連するチェックボックスを 選択して、 ISO ファイルがローカル環境のどこに存在しているのかを指定 します。このインストールサーバを利用して配布する製品にもよりますが、 追加のリポジトリとしてアドオン CD やサービスパック CD を追加しておく 必要がある場合があります。また、インストールサーバを OpenSLP 経由で 通知したい場合は、関連するオプションを選択してください。
お使いのネットワーク環境で対応している場合は、お使いのリポジトリを OpenSLP で通知するよう指定しておくことをお勧めします。この指定を行なうことで、 それぞれのターゲットマシンでわざわざネットワークパスを指定したりする 手間を省くことができます。ターゲットシステムでは単に SLP 起動オプション を利用して起動するだけで、あとの設定を行なうことなくネットワーク リポジトリを検出することができます。詳しくは 2.4項 「インストールのためのターゲットシステムの起動」 をお読みください。 |
インストールデータのアップロード処理を行ないます。インストールサーバを 設定するにあたってもっとも時間のかかる処理は、実際のインストールメディアを コピーする処理です。 YaST で指示されたとおりの順序でメディアを挿入し て、コピーが完了するまでお待ちください。データのコピーが全て完了する と、既存のリポジトリに関する概要の画面に戻ります。あとは
を押して終了してください。これでインストールサーバの準備は全て完了し、サービスを提供できるように なります。システムが起動するたびに自動的にサービスが起動しますので、 起動時に特別な作業を行なったりする必要はありません。 YaST の初期段階 でネットワークサービスの自動設定を無効化していた場合のみ、このサービス を手作業で設定して開始する必要があります。
逆にリポジトリを削除するには、削除するリポジトリを選択して
を押してください。インストールデータはシステムから 削除されます。ネットワークサービスを無効化するには、関連する YaST モジュールをお使いください。また、インストールサーバで複数の製品や複数のバージョンのインストールデータ を提供したい場合は、 YaST インストールサーバモジュールを起動して、 概要画面から
ボタンを押して新しいリポジトリを 追加してください。インストールソースとして NFS を設定するには、 2 段階の手順で行ないます。 1 つめはインストールデータを保存しておくためのディレクトリ構造の作成と インストールメディアのコピー、 2 つめはインストールデータをネットワーク 側に公開するためのエクスポート処理です。
インストールデータを保存しておくディレクトリを作成するには、下記の手順で 行ないます:
root
でログインします。
後の手順でインストールデータを保存しておくためのディレクトリを 作成し、そのディレクトリに移動します。たとえば下記のようになります:
mkdir install/製品名
/製品バージョン
cd install/製品名
/製品バージョン
ここで、 製品
は製品名の略称を、
製品バージョン
には製品名とバージョンの入った
文字列をそれぞれ指定します。
次に、メディアキットに含まれているそれぞれの DVD を挿入し、下記の コマンドを実行します:
インストール DVD の内容全体を、インストールサーバのディレクトリに コピーします:
cp -a /media/(DVD-ROM ドライブのパス) .
ここで、 (DVD-ROM ドライブのパス)
には
実際に DVD ドライブがマウントされているディレクトリを指定します。
お使いのシステムで使用しているドライブにもよりますが、
cdrom
, cdrecorder
,
dvd
, dvdrecorder
のいずれかを指定します。
ディレクトリの名称を DVD 番号に名称変更します:
mv(DVD-ROM ドライブのパス)
DVDx
ここで、 x
はコピーを行なった DVD の
番号を指定します。
次に YaST を利用して、 NFS によるリポジトリのエクスポートを行ないます。 下記の手順で実施してください:
root
でログインします。
+ + を起動します。
まずは
と をそれぞれ選択して、 を押します。
次に
を選択してください。
製品バージョン
さらに exports
のマニュアルページを
お読みください。
最後に openSUSE の リポジトリを保持する NFS サーバの設定は完了です。自動的に NFS サーバは 起動され、システム起動時から動作するようになります。
を押します。これでYaST NFS サーバモジュールを利用する代わりに NFS を手動で設定して 公開したい場合は、下記の手順で行ないます:
root
でログインします。
/etc/exports
ファイルを開き、下記の行を入力します:
/製品バージョン
*(ro,root_squash,sync)
上記の設定では、ディレクトリ
/
を、
同じネットワーク内に属しているか、もしくはこのサーバに接続することの
できる任意のホストに公開します。このサーバへのアクセスを制限するには、
汎用ワイルドカード 製品バージョン
*
の代わりにネットマスクや
ドメイン名を指定してください。詳しくは export
のマニュアルページをお読みください。
設定ファイルを記入したら、保存して終了します。
NFS のサービスをシステム起動時に稼働するよう設定するには、下記のコマンド を入力してください:
insserv /etc/init.d/nfsserver
NFS サーバを起動するには、 rcnfsserver start と入力 します。後から NFS サーバの設定を変更するには、設定ファイルを修正した あと下記のコマンドで NFS デーモンを再起動してください。 rcnfsserver restart.
OpenSLP 経由で NFS サーバを通知すると、お使いのネットワーク内にある 全てのクライアントに対してそのアドレスを通知することができます。
root
でログインします。
/etc/slp.reg.d/install.suse.nfs.reg
という名前で
設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:
# NFS インストールサーバの登録
service:install.suse:nfs://$HOSTNAME/リポジトリのパス
/DVD1,en,65535
description=NFS Repository
ここで リポジトリのパス
には、
お使いのサーバにおけるインストール元のパスを指定します。
最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。
OpenSLP についての詳細は、 /usr/share/doc/packages/openslp/
ディレクトリ以下に配置されているパッケージドキュメンテーションか、
第14章 ネットワーク内の SLP サービス をお読みください。 NFS に関する詳細は、
第18章 NFS でのファイル共有 をお読みください。
FTP でのリポジトリ作成方法は、 NFS リポジトリの作成方法ととても 似ています。 FTP リポジトリについても OpenSLP を介した通知を 行なうことができます。
2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」 に示された手順に従って、インストール元を保持するディレクトリを 作成します。
インストール元のディレクトリを FTP サーバ経由で公開するよう 設定します:
root
でログインし、 YaST ソフトウエア管理を
利用して vsftpd
パッケージを
インストールします。
FTP サーバのルートディレクトリに移動します:
cd /srv/ftp
FTP サーバのルートディレクトリ以下に、インストール元を保存する ためのサブディレクトリを作成します:
mkdir リポジトリ
ここで、 リポジトリ
には製品名を入力
します。
インストールリポジトリの内容をマウントし、 FTP サーバのルート ディレクトリ以下から閲覧できるようにします:
mount --bindリポジトリのパス
/srv/ftp/リポジトリ
ここで、 リポジトリのパス
and
リポジトリ
には、それぞれ該当する
値を入力してください。このマウントを恒久的に行ないたい場合は、
/etc/fstab
に設定を行なってください。
vsftpd コマンドで vsftpd を起動します。
お使いのネットワーク環境で許可されていれば、 OpenSLP 経由で通知を 行なうことができます:
/etc/slp.reg.d/install.suse.ftp.reg
という
名前で設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:
# FTP インストールサーバの登録
service:install.suse:ftp://$HOSTNAME/リポジトリ
/DVD1,en,65535
description=FTP Repository
ここで リポジトリ
には、お使いのサーバ内
でリポジトリが存在するディレクトリを入力します。なお、
service:
の行は1行で (改行せずに) 入力しなければ
なりません。
最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。
YaST を利用した FTP サーバの構築 | |
---|---|
FTP でのインストールサーバを設定するにあたって、手作業ではなく YaST を利用したい場合は、 第21章 YaST を利用した FTP サーバの設定 にある YaST FTP サーバモジュールの使い方をお読みください。 |
HTTP でのリポジトリ作成方法は、 NFS リポジトリの作成方法ととても 似ています。 HTTP リポジトリについても OpenSLP を介した通知を 行なうことができます。
2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」 に示された手順に従って、インストール元を保持するディレクトリを 作成します。
インストール元のディレクトリを HTTP サーバ経由で公開するよう 設定します:
20.1.2項 「インストール」 に書かれている手順に従って、 Web サーバ Apache をインストール します。 .
HTTP サーバのルートディレクトリ
(/srv/www/htdocs
) に移動し、インストール元を
保持するためのサブディレクトリを作成します:
mkdir リポジトリ
ここで、 リポジトリ
には製品の名前を入力
します。
Web サーバのルートディレクトリ (/srv/www/htdocs
)
からインストール元のディレクトリをたどれるよう、シンボリックリンクを
作成します:
ln -sリポジトリのパス
/srv/www/htdocs/リポジトリ
HTTP サーバの設定ファイル
(/etc/apache2/default-server.conf
) を修正し、
シンボリックリンクをたどれるようにします。
Options None
の行を
Options Indexes FollowSymLinks
に変更してください。
あとは rcapache reload コマンドで HTTP サーバ の設定を再読み込みさせてください。
お使いのネットワーク環境で許可されていれば、 OpenSLP 経由で通知を 行なうことができます:
/etc/slp.reg.d/install.suse.http.reg
という名前で
設定ファイルを作成し、下記の行を入力します:
# HTTP インストールサーバの登録
service:install.suse:http://$HOSTNAME/repository
/DVD1/,en,65535
description=HTTP Repository
ここで リポジトリ
には、お使いのサーバ内
でリポジトリが存在するディレクトリを入力します。なお、
service:
の行は1行で (改行せずに) 入力しなければ
なりません。
最後に rcslpd start コマンドで OpenSLP デーモンを 起動してください。
SMB を利用すると、 Microsoft Windows のマシンをインストール元として 使用することができます。周囲に Linux マシンが存在しない環境でも Linux の配置を行なうことができます。
Windows 共有を利用して openSUSE のリポジトリを公開するには、 下記の手順で行なってください:
お使いの Windows マシンにログインします。
インストール元のツリー構造全体を保持するための新しいディレクトリを
作成します。たとえば INSTALL
のような名前で
作成します。
Windows の文書に従って、このディレクトリを共有するよう設定します。
作成したディレクトリに移動して、
のサブディレクトリを作成します。ここで
製品名
製品名
には、実際の製品名を入力します。
Enter the
INSTALL/
の
ディレクトリに移動して、それぞれの DVD を個別のディレクトリ
にコピーします。たとえば 製品名
DVD1
や
DVD2
のようなサブディレクトリになります。
SMB 共有をリポジトリとしてマウントするには、下記の手順を行ないます:
サーバのディレクトリに対してメディアの内容をコピーする代わりに、 インストールメディアの ISO イメージをインストールサーバにコピーして インストール時にターゲットにマウントさせることができます。 HTTP, NFS, FTP サーバを設定し、メディアの内容をコピーする代わりに ISO イメージを設定するには、下記の手順で行なってください:
ISO イメージをダウンロードして、インストールサーバ内に保存します。
root
でログインします。
それぞれ 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」, 2.2.3項 「FTP リポジトリの手動構築」, 2.2.4項 「HTTP リポジトリの手動構築」 で示されている手順で、インストールデータの配置先を選択および作成 します。
それぞれの DVD に対してサブディレクトリを作成します。
最終的な配置先で ISO イメージをマウントします。具体的には下記の コマンドを入力します:
mount -o loopISO ファイルのパス
リポジトリのパス
/製品名
/メディア X
ここで、 ISO ファイルのパス
には
ダウンロードした ISO イメージファイルのパスを、
リポジトリのパス
にはお使いのサーバに
おける公開もとディレクトリを、 製品名
には
製品名を、 メディア X
にはメディアの種類
(CD または DVD) とメディア番号をそれぞれ入力してください。
それぞれ ISO イメージの枚数分だけ上記の手順を繰り返します。
あとはそれぞれ 2.2.2項 「NFS リポジトリの手動構築」, 2.2.3項 「FTP リポジトリの手動構築」, 2.2.4項 「HTTP リポジトリの手動構築」 に書かれた手順で通常通りのインストールを行ないます。
システム起動時に自動で ISO イメージをマウントさせたい場合は、それぞれ
のマウント項目を /etc/fstab
内に記入してください。
上記の例を fstab に記入する場合は、下記のようになります:
ISO ファイルのパス
リポジトリのパス
/製品名
メディア X
auto loop
この章では、より複雑な起動方法についての設定手順を示しています。 それぞれ DHCP, PXE ブート, TFTP, Wake on LAN の設定例を記載しています。
DHCP サーバを構築するには、 2 つの方法があります。 1 つは openSUSE 固有の方法として YaST のグラフィカルインターフェイスを 利用する方法、もう 1 つは手作業で設定ファイルを変更する方法です。 DHCP サーバについての詳細は、 第16章 DHCP をお読みください。
ネットワーククライアントに対して TFTP サーバの場所を通知し、インストール ターゲットが使用すべきブートイメージファイルを指定するには、 DHCP サーバ の設定に 2 つの項目を追記する必要があります。
DHCP サーバの動作しているマシンに対して、 root
でログインします。
yast2-dhcp-server
パッケージをインストールします。
+ + を起動 します。
セットアップウイザードを利用して基本的な DHCP サーバの設定を済ませます。
を押し、スタートアップダイアログを 抜ける際に表示される警告メッセージが表示されたら、 を選択します。
まずは
ダイアログでは、 新しいシステムが存在するサブネットを選択して を押します。ダイアログでは、 サブネットの設定に新しいオプションを追加するため、 ボタンを押します。
filename
を選択し、値には
pxelinux.0
と入力します。
さらにもう 1 つのオプション (next-server
)
を追加し、値として TFTP サーバのアドレスを入力します。
ボタンを押してから ボタンを押し、 DHCP サーバ設定を完了します。
特定のホストに対して固定の IP アドレスを割り当てるよう DHCP サーバを
設定するには、 DHCP サーバモジュール内の ステップ 5)
を押し、 ボタンから新しいホストを追加して
ください。あとはオプションとして hardware
と
fixed-address
を追加し、それぞれ値として
ハードウエアアドレスと割り当てる IP アドレスを指定してください。
お使いのネットワーククライアントに対して自動でアドレスを割り当てるだけ ではなく、ターゲットマシンからインストールプログラムを起動できるように する目的で、 TFTP サーバとその中でのファイルを指定する必要があります。
DHCP サーバの動作しているマシンに対して、 root
でログインします。
/etc/dhcpd.conf
内に配置されているお使いの
DHCP サーバ設定ファイルについて、下記のような行を追記します:
subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 {
range dynamic-bootp 192.168.1.200 192.168.1.228;
# PXE 関連の項目
#
# "next-server" には、使用すべき TFTP サーバのアドレスを指定します。
next-server TFTP サーバの IP アドレス
:
#
# "filename" には、 /srv/tftpboot 以下に配置する pxelinux のファイル名
# を指定します。
filename "pxelinux.0";
}
Replace
ここで、 TFTP サーバの IP アドレス
には
実際の TFTP サーバのアドレスを記入します。
dhcpd.conf
で利用可能なオプションについて、
詳しくは dhcpd.conf
のマニュアルページを
お読みください。
rcdhcpd restart コマンドを実行し、 DHCP サーバを 再起動します。
PXE と Wake on LAN を起動時に使用し、 SSH でリモートコントロールを行ない たい場合は、インストールターゲットに対して DHCP サーバから固定の IP アドレスを割り当てる必要があります。固定の IP アドレスを割り当てるには、 上記の例にさらに下記のような追記を行なう必要があります:
group { # PXE 関連の項目 # # "next-server" には、使用すべき TFTP サーバのアドレスを指定します。 next-serverTFTP サーバの IP アドレス
: # # "filename" には、 /srv/tftpboot 以下に配置する pxelinux のファイル名 # を指定します。 filename "pxelinux.0"; host test { hardware ethernetMAC アドレス
; fixed-address割り当てる IP アドレス
; } }
host の項目では、まずインストールターゲットのホスト名を指定します。 指定したホストに対してホスト名と IP アドレスを指定するには、その ホストのハードウエアアドレス (MAC アドレス) を知っておく必要があり ます。それぞれの値はご自身の環境に応じて修正してください。
DHCP サーバを再起動すると、指定したホストに固定の IP アドレスが 割り当てられますので、 SSH を介して接続できるようになります。
TFTP サーバは YaST で設定することができるほか、 xinetd と TFTP に対応 した他の Linux オペレーティングシステム上で、手作業による設定を行なうこと もできます。 TFTP サーバはターゲットシステムが起動するための起動イメージ を配信します。
root
でログインします。
yast2-tftp-server
パッケージ
をインストールします。
+ + を 起動し、指示されたとおりにパッケージをインストールします。
その後
を選択し、サーバを起動して システムの起動処理に組み込まれていることを確認します。 これでサーバの起動準備は完了です。 xinetd は起動時に tftpd を 開始するようになります。なお、お使いのマシンで動作しているファイアウオールで適切なポートを開く ため、
も選択して おいてください。お使いのサーバでファイアウオールが有効になっていない 場合は、このオプションは利用できません (選択する必要はありません) 。
次に /tftpboot
は
自動的に作成され、選択されています。
最後に
を押すと設定が保存され、サーバが 起動されます。
root
でログインし、それぞれ tftp
と xinetd
パッケージをインストールします。
/srv/tftpboot
と
/srv/tftpboot/pxelinux.cfg
のディレクトリが
存在していなければ、それぞれ作成します。
2.3.3項 「PXE ブートの使用」 で説明されて いる内容をもとにして、起動イメージとして必要なファイルを配置します。
/etc/xinetd.d
ディレクトリ以下にある xinetd の
設定ファイルを修正し、起動時に TFTP サーバが動作するようにします:
tftp
ファイルが存在していない場合は
touch tftp コマンドでファイルを作成し、
chmod 755 tftp コマンドを実行して読み取れる
ようにします。
tftp
ファイルを開いて、下記のとおり入力
します:
service tftp { socket_type = dgram protocol = udp wait = yes user = root server = /usr/sbin/in.tftpd server_args = -s /srv/tftpboot disable = no }
ファイルを保存し、 rcxinetd restart コマンドで xinetd を再起動します。
PXE の完全な仕様説明や技術的な背景に関する情報は、 Preboot Execution Environment (PXE) 仕様として (http://www.pix.net/software/pxeboot/archive/pxespec.pdf; 英語) に説明があります。
インストールリポジトリ内にある
boot/<アーキテクチャ>/loader
ディレクトリ
に移動し、 linux
, initrd
,
message
, biostest
,
memtest
の各ファイルを
/srv/tftpboot
ディレクトリにコピーします。
下記のように行なってください:
cp -a linux initrd message biostest memtest /srv/tftpboot
YaST からインストール DVD を利用して
syslinux
パッケージをインストールします。
以下のようにして /usr/share/syslinux/pxelinux.0
ファイルを /srv/tftpboot
ディレクトリにコピー
します:
cp -a /usr/share/syslinux/pxelinux.0 /srv/tftpboot
使用するインストールリポジトリのあるディレクトリに移動し、
isolinux.cfg
ファイルを
/srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default
にコピーします:
cp -a boot/<アーキテクチャ>/loader/isolinux.cfg /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default
/srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default
ファイルを
編集し、それぞれ readinfo
,
framebuffer
で始まる行を削除します。
それぞれ failsafe
と apic
ラベルの行の下に、それぞれ下記の追加行を挿入します:
insmod=カーネルモジュール
この行は、 PXE クライアントがネットワークインストールを行なうのに
必要な、ネットワークカーネルモジュールを指定しています。
カーネルモジュール
には、お使いのマシン
に接続されたネットワークデバイスに対する適切なモジュール名を入力
してください。
netdevice=インターフェイス名
この行は、ネットワークインストールを行なう際に使用するネットワーク インターフェイスの名前を指定しています。この行は、クライアントマシン に複数のネットワークカードが接続されている場合にのみ必要な行です。 1 枚のネットワークカードしか接続されていない場合は省略可能です。
install=nfs://インストールサーバの IP アドレス
/リポジトリのパス
/DVD1
この行では、クライアントマシンをインストールするための NFS サーバと
リポジトリの場所を指定しています。それぞれ
インストールサーバの IP アドレス
には
利用するインストールサーバの IP アドレスを、
リポジトリのパス
にはリポジトリへの
パスを入力します。なお、 HTTP, FTP, SMB の各リポジトリについても
同じような方法で入力します。それぞれ冒頭の部分を
http
, ftp
,
smb
に書き換えてください。
SSH や VNC の起動パラメータのようなその他の起動オプションを指定したい
場合は、 |
カーネルと initrd ファイル名の変更 | |
---|---|
カーネルと initrd イメージファイルについては、それぞれ異なる名前を 指定することもできます。これは、同じ起動サーバから異なるオペレーティング システムを提供したい場合に便利な機能です。ただし、 TFTP サーバで PXE ブートを行なう場合のファイル名には、 1 つまでしかピリオド (.) が 許されないことに注意してください。 |
下記は /srv/tftpboot/pxelinux.cfg/default
ファイルの
例です。お使いのネットワーク設定にあわせてプロトコルのプレフィクス
(接頭辞) 部分を変更し、必要であればインストーラへの接続方法についても
vnc
, vncpassword
や
usessh
, sshpassword
などの
オプションを追記してください。なお、改行を挟んで行の続きを記入する
には、 \
を行末に挿入してください。
default harddisk # default label linux kernel linux append initrd=initrd ramdisk_size=65536 \ install=nfs://インストールサーバの IP アドレス
/リポジトリのパス
/製品名
/DVD1 # rescue label rescue kernel linux append initrd=initrd ramdisk_size=65536 rescue=1 # bios test label firmware kernel linux append initrd=biostest,initrd splash=silent install=exec:/bin/run_biostest showopts # memory test label memtest kernel memtest # hard disk label harddisk localboot 0 implicit 0 display message prompt 1 timeout 100
ここで、 インストールサーバの IP アドレス
と
リポジトリのパス
にはお使いの環境に合わせた
値を代入してください。
なお、次の章ではこのセットアップ方法で使用している PXELINUX の
オプションについて、簡単な説明を行なっています。詳しい説明は
syslinux
パッケージの説明をお読みください。
/usr/share/doc/packages/syslinux/
以下の
ディレクトリに各種文書が配置されています。
以下には PXELINUX の設定ファイルで利用する全てのオプションが示されて います。
DEFAULT カーネルオプション
...
既定のカーネルコマンドラインを指定します。 PXELINUX で自動的に起動した 場合は、 DEFAULT の後に続く文字列が起動プロンプトに入力されたものとして 扱われます。また、自動起動したことを示すために "auto" オプションも追加 されます。
設定ファイルが存在していない場合や、 DEFAULT の項目が設定ファイルに 存在しなかった場合は、カーネル名 「linux」 でオプション指定 無しであるものとされます。
APPEND オプション...
カーネルのコマンドラインに対して 1 つ以上のオプションを追加します。 この項目は自動的に起動された場合も手動で選択した場合も追加されます。 オプションはカーネルコマンドラインの先頭のほうから追加されるため、 入力されたカーネルオプションは以前のものを上書きするような形に なります。
LABEL ラベル名
KERNEL イメージ
APPEND オプション
...
起動するカーネルとして ラベル名
を入力した
場合、 PXELINUX は イメージ
で指定した
カーネルを読み込み、ファイルのグローバルセクションのオプション
(LABEL
コマンドの外側にあるもの) を
本項の APPEND
オプションで指定したものに置き換えます。
image
の既定値は label
と同じもので、 APPEND
が書かれていなければ
グローバルセクションの値が使用されます。最大で 128 個の
LABEL
項目までが入力できます。
なお、 GRUB では下記の書式を使用します:
title (タイトル) kernelイメージ
オプション
initrdinitrd ファイル名
PXELINUX では下記の書式を使用します:
label(タイトル)
kernelイメージ
appendオプション
ラベルは MS-DOS のファイル名と同じような解釈を行ない、それらは全て ユニークでなければなりません。たとえば 「v2.6.30」 と 「v2.6.31」 というラベルがあった場合、それらは DOS ファイル 名では同じものを指してしまうため、区別できないものになってしまいます。
また、イメージは必ずしも Linux カーネルである必要はありません; ブートセクターや COMBOOT ファイルでもかまいません。
APPEND -
何も追加しないことを指定します。 LABEL
セクション内の
APPEND
の後にパラメータとして 1 文字のハイフンを指定
すると、グローバルセクションの APPEND
を上書きする
宣言になります。
LOCALBOOT 種類
PXELINUX では、 KERNEL
を指定する代わりに
LOCALBOOT 0
を指定すると、カーネルを起動する代わりに
指定したローカルディスクを起動するようになります。
種類 |
説明 |
---|---|
|
通常どおりの起動を行ないます |
|
Universal Network Driver Interface (UNDI) をメモリ内に保持したまま ローカル起動を行ないます |
|
Universal Network Driver Interface (UNDI) を含めた PXE スタック全体 をメモリ内に保持したままローカル起動を行ないます |
その他の値は未定義です。 UNDI や PXE スタックについて詳しく知らない
場合は、 0
を指定してください。
TIMEOUT 制限時間
自動的な起動を行なうまでの起動プロンプトの待機時間を指定します。 単位は 1/10 秒で、何らかのキーボード入力が起こるとコマンドのユーザ 入力が始まったものと見なして自動起動がキャンセルされます。 0 を指定 すると、時間切れにならないようになります (既定値) 。利用可能な最大の 値は 35996 (1 時間より少し少ない値) です。
PROMPT フラグ
フラグ
に 0 を指定すると、
Shift キーや
Alt が押されるか、もしくは Caps
Lock や Scroll Lock がロックされている場合にのみ
起動プロンプトを表示します (既定値) 。 フラグ
に 1 を
指定すると、起動プロンプトは常に表示されます。
F2ファイル名
F1ファイル名
..etc... F9ファイル名
F10ファイル名
起動プロンプトでそれぞれのファンクションキーを押した時に表示する ファイルを指定します。これは起動前のオンラインヘルプ (たとえばカーネルの コマンドラインオプション) を表示する際などに使用することができます。 なお、従来のバージョンとの互換性を確保するため、 F10 は F0 として入力することもできます。なお、現時点では F11 と F12 にファイル名を割り当てる ことはできません。
BIOS での起動順序に PXE 起動を含めるようにして、システムの BIOS が PXE ブートできるように設定します。
BIOS 起動順序 | |
---|---|
BIOS の設定では、 PXE の起動をハードディスクの起動よりも優先するよう 設定しないでください。このように設定してしまうと、システム起動時に 毎回 PXE 起動が行なわれてしまい、インストールを毎回繰り返すことに なってしまいます。 |
Wake on LAN (WOL) を利用するには、事前に適切な BIOS オプションを設定して おく必要があります。また、ターゲットシステムの MAC アドレスも知っておく 必要があります。 MAC アドレスは Wake on LAN の実施に必要な情報です。
Wake on LAN は、そのマシンの MAC アドレスを含む特別なネットワークパケット を送信することで電源を入れる仕組みです。世界中にある各マシンにはユニーク な MAC 識別子が割り当てられているため、異なるマシンを誤って起動してしまう ようなことは考える必要がありません。
異なるネットワークセグメントをまたがる Wake on LAN | |
---|---|
コントロールする側のマシンが起動すべきインストールターゲットと同じ ネットワークセグメント内に存在していない場合は、マルチキャストとして WOL (Wake on LAN) パケットを送信するか、同じネットワークセグメント内に 存在するマシンを遠隔から操作して WOL パケットを送信すると Wake on LAN を実現することができます。 |
基本的には 2.3.7項 「Wake on LAN」 や 2.3.3項 「PXE ブートの使用」 で示したもの以外に、 2 種類の方法でのインストール起動方法があります。 ファンクションキーで設定して既定のオプションで起動する方法と、特定の ハードウエアを使用する際に、カーネルに指定する必要がある起動オプションを 起動画面で入力する方法です。
起動オプションについては 第1章 YaST を利用したインストール で説明しています。 通常は単に を選択すればインストールの 起動処理が始まります。
何らかの問題が発生した場合は、
を 選択するか、 を選択して ください。インストール処理時のトラブルシューティングについて、詳しくは 項 「インストールの問題」 (付録A ヘルプとトラブルシューティング, ↑スタートアップ) をお読みください。画面の下の方には、特定の環境で必要となるような拡張機能の案内が示されて います。実際のパラメータ (詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください) を覚えることなく、ファンクションキーを利用してインストール時の 追加オプションを指定することができます。利用可能なファンクションキーに ついて、詳しくは 1.5項 「起動画面」 をお読み ください。
適切な起動オプションを使用すると、インストールの処理をより便利に行なう
ことができるようになります。多くのパラメータは linuxrc のルーチンを利用
して後から指定することもできますが、起動オプションを利用した方がより
簡単に指定することができます。セットアップを自動化するような場合は、
initrd
ファイルや info
ファイル
で与えることもできます。
下記の表には、この章で示したインストールシナリオと起動時に必要な パラメータ、および関連する起動オプションの一覧を示しています。それぞれ この表に現われている順序で追記していってください。たとえば (全てを 1 行 で記述します):
install=xxx
netdevice=xxx
hostip=xxx
netmask=xxx
vnc=xxx
vncpassword=xxx
ここでそれぞれの xxx
には、お使いの環境に合わせた
値を代入してください。
起動に必要なパラメータ. なし
起動オプション. 設定不要です
起動に必要なパラメータ
インストールサーバの場所
ネットワークデバイス
IP アドレス
ネットマスク
ゲートウエイ
VNC の有効化設定
VNC パスワード
起動オプション
install=(nfs,http,ftp,smb)://
インストールメディアのパス
netdevice=
(複数のネットワークデバイスが接続されている場合にのみ、必要な設定です)
ネットワークデバイス
hostip=
IP アドレス
netmask=
ネットマスク
gateway=
IP ゲートウエイ
vnc=1
vncpassword=
パスワード
起動に必要なパラメータ
インストールサーバの場所
VNC の有効化設定
VNC パスワード
起動オプション
install=(nfs,http,ftp,smb)://
インストールメディアのパス
vnc=1
vncpassword=
パスワード
起動に必要なパラメータ
インストールサーバの場所
TFTP サーバの場所
VNC の有効化設定
VNC パスワード
起動オプション. 起動時のオプションは設定できません; 起動処理は PXE と DHCP で管理される仕組みであるためです
起動に必要なパラメータ
インストールサーバの場所
ネットワークデバイス
IP アドレス
ネットマスク
ゲートウエイ
SSH の有効化設定
SSH パスワード
起動オプション
install=(nfs,http,ftp,smb)://
インストールメディアのパス
netdevice=
(複数のネットワークデバイスが接続されている場合にのみ、必要な設定です)
ネットワークデバイス
hostip=
IP アドレス
netmask=
ネットマスク
gateway=
IP ゲートウエイ
usessh=1
sshpassword=
パスワード
起動に必要なパラメータ
インストールサーバの場所
SSH の有効化設定
SSH パスワード
起動オプション
install=(nfs,http,ftp,smb)://
インストールメディアのパス
usessh=1
sshpassword=
パスワード
インストールサーバの場所
TFTP サーバの場所
SSH の有効化設定
SSH パスワード
起動オプション. 起動時のオプションは設定できません; 起動処理は PXE と DHCP で管理される仕組みであるためです
linuxrc 起動オプションに関する詳細 | |
---|---|
Linux システムを起動するにあたって使用される linuxrc の起動オプション について、詳しくは http://ja.opensuse.org/SDB:Linuxrc をお読みください。 |
インストール処理を遠隔から監視するには、いくつかの方法があります。 インストール時に適切な起動オプションを指定すると、それぞれ VNC または SSH でインストール処理を操作し、遠隔からシステム設定を行なうことが できます。
VNC ビューアと呼ばれるソフトウエアを使用することで、任意のオペレーティング システムが動作するマシンから openSUSE のインストールを遠隔で 操作することができます。この章では、 VNC ビューアアプリケーションや Web ブラウザを利用した設定方法を示しています。
VNC インストールを行なうにあたって、ターゲットシステムで行なわなければ ならないことは、インストールの起動段階で必要な起動オプションを設定する ことだけです (詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください) 。ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、 VNC クライアントがインストールプログラムに接続されるのを待つ動作になり ます。
その後インストールプログラムは、接続に必要な IP アドレスとディスプレイ 番号を通知します。ターゲットシステムに対して物理的なアクセスを行なう ことができる環境の場合は、インストール処理の起動後に情報が提供され ます。 VNC クライアントを起動して提供された情報を入力し、さらに パスワードも入力してください。
また、インストールターゲットは自分自身を OpenSLP でアナウンスする仕組み になっているため、物理的なアクセスが行なえない環境でもインストール ターゲットに関する情報を SLP ブラウザで取得することができます。 OpenSLP 対応のネットワーク環境とマシンで、下記のようにして行なってください:
基本的に VNC サーバ (この場合インストールターゲット) に接続するには、 2 種類の方法があります。任意のオペレーティングシステムで動作する独立した VNC ビューアを立ち上げる方法と、 Java の利用できる Web ブラウザを利用する 方法です。
VNC を利用する場合、他の Linux ディストリビューションや Windows 、 Mac OS などのような任意のオペレーティングシステムからインストールを操作 することができます。
Linux マシンの場合は、 tightvnc
パッケージが
インストールされていることを確認してください。 Windows マシンの場合は、
同アプリケーションの Windows 移植版をインストールしてください。
TightVNC の Windows 版は、 TightVNC の Web ページ
(http://www.tightvnc.com/download.html) からダウンロード
することができます。
ターゲットマシン上で動作しているインストールプログラムに接続するには、 下記のようにして行ないます:
VNC ビューアを起動します。
SLP ブラウザやインストールプログラム自身が提供する、インストール ターゲットの IP アドレスとディスプレイ番号をそれぞれ入力します:
IP アドレス
:ディスプレイ番号
あとは通常のローカルインストールの時と同じように、 YaST の画面が お使いのウインドウ内に表示されるようになります。
Web ブラウザを利用してインストールプログラムに接続する場合は、 VNC ソフトウエアのインストールが不要になるだけでなく、オペレーティング システムについても任意のものを選択することができるようになります。 お使いのブラウザアプリケーションが Java に対応しているもの (Firefox, Internet Explorer, Konqueror, Opera など) であれば、どの環境でも Linux システムのインストールを行なうことができます。
VNC インストールを行なうには、下記のようにして行ないます:
SSH を利用すると、任意の SSH クライアントソフトウエアの動作する マシンから、インストール作業の遠隔操作を行なうことができます。
必要なソフトウエアパッケージ (Linux の場合は OpenSSH 、 Windows の 場合は PuTTY) のインストールのほか、 SSH インストールには適切な 起動オプションを指定する必要があります。詳しくは 2.4.2項 「カスタムな起動オプションの使用」 をお読み ください。 OpenSSH は SUSE Linux ベースのオペレーティングシステムで あれば既定でインストールされます。
インストールターゲットの IP アドレスを取得します。ターゲットマシンに 物理的なアクセスを行なうことのできる環境であれば、起動時にコンソール に表示された IP アドレスを読んでください。そうでない環境の場合は、 DHCP サーバの設定から、そのホストに割り当てられた IP アドレスを 取得してください。
下記のコマンドラインを入力します:
ssh -X root@
ターゲットの IP アドレス
ここで、 ターゲットの IP アドレス
には、
実際のインストールターゲットの IP アドレスを記入してください。
ユーザ名を尋ねられたら、 root
と入力します。
パスワードを尋ねられたら、 SSH 起動オプションで指定しておいたパスワード を入力します。認証が完了すると、インストールターゲットのコマンドライン プロンプトが表示されます。
インストールプログラムを起動するため、 yast と 入力してください。あとは 第1章 YaST を利用したインストール で示されている 通常の YaST 画面が表示されます。