第7章 指紋読み取り装置の使用

目次

7.1. 対応するアプリケーションと処理
7.2. YaST を利用した指紋の管理

お使いのシステムに指紋読み取り装置があれば、ユーザ ID とパスワードによる 認証に加えて、生体認証を利用することができるようになります。あらかじめ ユーザの指紋を登録しておけば、指紋読み取り装置で指紋を読み取らせるか、 もしくはパスワードを入力するかのどちらかで、システムにログインできるように なります。 openSUSE® では、数多くの読み取り装置に対応しています。 対応デバイスの一覧について、詳しくは http://www.freedesktop.org/wiki/Software/fprint/libfprint をお読みください。

ハードウエアのチェックの際、お使いのシステムに指紋読み取り装置が内蔵 (または接続) されていることを検出すると、 libfprint, pam_fp, yast2-fingerprint-reader の各パッケージが自動的に インストールされます。

現時点では、 1 ユーザあたり 1 つまでの指紋を登録できます。ユーザの指紋 データは、 /home/ユーザ名/.fprint/ 以下に保存されます。

7.1. 対応するアプリケーションと処理

PAM モジュール pam_fp では、下記のアプリケーションや 処理の指紋認証に対応しています (すべての場合で指紋を読み取るような メッセージが表示されるとは限りません):

  • GDM/KDM またはシェルでのログイン

  • GNOME/KDE のデスクトップのアンロック (解錠)

  • YaST と YaST モジュールの起動

  • root の権限が必要なアプリケーションの起動 (sudo または gnomesu を使用した場合)

  • susu - ユーザ名 を利用して、異なる ユーザに切り替える処理

[Note]指紋読み取り装置とホームディレクトリの暗号化について

指紋読み取り装置を使用する場合は、ホームディレクトリの暗号化 (詳しくは 第10章 YaST を利用したユーザ管理 (↑スタートアップ) をお読みください) を利用 してはなりません。ホームディレクトリを暗号化してしまうと、指紋読み取り 装置から指紋データを読み取ることができなくなってしまうため、ログインが 失敗するようになります。

7.2. YaST を利用した指紋の管理

手順7.1 指紋認証の有効化

生体認証を利用するには、 PAM を設定する必要があります。パッケージの インストール時にハードウエア側で対応する指紋読み取り装置が検出されれば、 それらの設定は自動的に行なわれますが、手作業で行ないたい場合は下記の 手順で行ないます:

  1. YaST を起動し、 ハードウエア+指紋読み取り装置 を選択します。

  2. 設定ダイアログが表示されたら、 指紋読み取り装置を利用する を選択し、 完了 を押します。これで設定が保存され、 ダイアログが閉じます。

あとはユーザの指紋を登録します。

手順7.2 指紋の登録

  1. YaST を起動し、 セキュリティとユーザ+ユーザとグループの管理 を選択して、 ユーザとグループの管理 ダイアログを表示します。 システム内に登録されているユーザやグループの一覧が表示されます。

  2. 指紋を登録したいユーザを選択し、 編集 を押します。

  3. プラグイン のタブを選択し、指紋の項目を選んで 起動 を押します。すると 指紋認証の設定 ダイアログが表示されます。

  4. YaST はユーザに対して 3 種類の指紋情報を正しく読み取れるまで、 繰り返し指紋の読み取りを求めます。

  5. 指紋情報を正しく読み取ったあとは、 了解 を押して 指紋認証の設定 ダイアログを閉じ、ユーザ設定の ダイアログも閉じてください。

  6. YaST や YaST のモジュールを起動するために指紋認証を使用したい 場合は、 root の指紋についても登録を行なう必要があります。

    これを行なうには、 ユーザとグループの管理 ダイアログで フィルタの設定 から システムユーザ を選び、 root の項目を選んで 指紋を登録します。

  7. 設定したいユーザに対して指紋の登録を終えたら、最後に 完了 を押して管理ダイアログを閉じ、設定を保存します。

ユーザに対する指紋情報の登録を行なったら、その直後から指紋とパスワードの 両方による認証を利用して、 7.1項 「対応するアプリケーションと処理」 に書かれている処理やアプリケーションを起動することができるようになります。

現時点では YaST には、指紋情報の検証や削除の機能がありません。 指紋情報を削除したい場合は、 /home/ユーザ名/.fprint のディレクトリを直接削除してください。

技術的な詳細については、 http://www.freedesktop.org/wiki/Software/fprint をお読みください。


openSUSE セキュリティガイド 13.1